モノフルオロ酢酸アミド

モノフルオロ酢酸アミドについて

モノフルオロ酢酸アミドは、化学式が特定される一級アミドであり、英語ではFluoroacetamideと表記されます。この化合物は、モノフルオロ酢酸から誘導されており、吸湿性のある白い粉末状です。構造的には、アセトアミドのアルファ炭素に位置する水素が一つフッ素原子へと置き換わったものとして知られています。また、フルオロアセトアミドという名前でも呼ばれることがあります。

用途と歴史

モノフルオロ酢酸アミドは、1956年に三共によって開発された殺虫剤としての使用が知られています。農薬登録が行われたのはその5月であり、登録番号が得られた後、1975年12月にその登録が失効するまで使用されていました。商品名「フッソール」として広く流通し、登録期間中には累計で約1,900トンが製造され、特に1966年から1967年には年間200トンを超える量が生産されたこともあります。しかし、時が経つにつれて、有機リン系の農薬が市場に登場し、モノフルオロ酢酸アミドは徐々にその地位を失っていきました。

この農薬は、カイガラムシやハダニ、アブラムシなどの害虫に対して効果を持ち、特に果樹園においてその使用が一般的でした。これにより、農業生産者は作物を守るためにこの化合物を利用しました。

毒性

モノフルオロ酢酸アミドは、その有効性と同時に毒性も強く、特に安全性には十分な配慮が必要です。ラットに対する半数致死量（LD50）は、経口投与において5.75mg/kg、経皮投与において80mg/kgとされています。このため、体内に取り込まれた際には、代謝によってモノフルオロ酢酸に変化し、過興奮や嘔吐、筋痙攣、呼吸抑制、心不全といった深刻な症状が引き起こされる可能性があります。このような危険性から、類似の誘導体であるN-メチル-N-(1-ナフチル)-モノフルオロ酢酸アミド（旧商品名ニッソール）も同様に中毒を引き起こすことが知られています。

規制と取り扱い

モノフルオロ酢酸アミドは、日本においては毒物及び劇物取締法に則り特定毒物として指定されています。このため、取り扱いには厳しい規制が設けられています。特定の法令で指定された者以外には、この化合物を含む製剤の取り扱いが禁じられています。さらに、製品には青色の着色を施すことが義務付けられており、一般市民に対してその危険性を明示する役割を果たしています。

このように、モノフルオロ酢酸アミドはその強力な殺虫効果から農業に貢献してきたものの、複数の毒性や規制が存在し、取り扱いには特に注意を要します。

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