モハメド・エルバラダイ

モハメド・エルバラダイの生涯と業績

モハメド・エルバラダイ（Mohamed ElBaradei）は、1942年6月17日にエジプトのカイロで生まれた著名な政治家であり、官僚です。彼はエジプトの暫定副大統領を経て、国際原子力機関（IAEA）の第4代事務局長を務めたことで広く知られています。特に2005年にはIAEAとともにノーベル平和賞を受賞し、国際社会での評価が高まりました。

学歴と外交官キャリア

エルバラダイは1962年にカイロ大学法学部を卒業後、エジプト外務省に入省し、外交官としてのキャリアをスタートさせました。彼はニューヨーク市とジュネーヴにある国連のエジプト代表部で勤めながら、1974年にはニューヨーク大学法科大学院で国際法の博士号を取得しました。

IAEAでの活動

1984年からIAEAに勤務し始め、法律顧問、事務局長補佐を経て、1997年には事務局長に就任しました。彼はイラクの大量破壊兵器に関する査察にも関与し、特に2003年には安保理への報告が注目を集めました。エルバラダイは当時、イラクが核兵器開発を行っていないとし、査察の延長を求めましたが、戦争は勃発しました。

2005年には、原子力の平和的な利用への貢献が評価され、IAEAとともにノーベル平和賞を受賞することとなります。この栄誉により、彼の国際的な地位は一層強化されました。

政治活動とエジプト帰国

IAEA事務局長としての任期を2009年に終えた後、エルバラダイは2010年にエジプトに帰国します。同年には「変革のための国民協会」を立ち上げ、エジプトの民主化を提唱しました。彼は旧体制に対抗する若者に支持を受けましたが、イスラム主義団体からの脅迫を受けて一時的に海外へ避難することとなります。

2011年にはチュニジアのジャスミン革命を受け、エジプトでも同様の行動が必要だと訴えました。1月25日から始まった反政府デモに参加し、その後のムバーラク政権崩壊の過程でも重要な役割を果たしました。

政権移行とその後

ムバーラクが2011年に辞任した際、エルバラダイは再び政治の舞台に立つことになります。しかし、2012年の大統領選挙には出馬しない意向を表明しました。その後、「立憲党」を設立し、政党としての認可を受けることで政治活動を継続しました。

2013年、ムハンマド・ムルシー大統領がクーデターで失脚すると、エルバラダイは暫定副大統領に任命されましたが、政権の行動に対する抗議のため、短期間で辞任することとなります。

人物像と私生活

エルバラダイはカイロ市郊外に在住しており、家族はウィーン・インターナショナルスクールで教師を務める妻アーイダと二人の子供、ライラーとムスタファーです。彼の政治的立場や影響力は、多くの支持を集める一方で、反発も受けることがありましたが、その活動はエジプトの現代史において重要な位置を占めています。

モハメド・エルバラダイの業績は、国際社会における平和と安全保障、エジプト国内の政治改革に大きな影響を与え、彼の世代だけでなく未来の世代にとっても貴重な教訓とされています。

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