モハメド・フセイン・ローブル

モハメド・フセイン・ローブルは、ソマリアの政治家であり、2020年9月から2022年6月まで同国の首相を務めました。彼の首相在任期間は、国内の政治的混乱と選挙をめぐる大統領との対立によって特徴づけられました。

生い立ちと教育

1963年、ムドゥグ州のホビョで生まれました。出身氏族はハウィエの支族ハバル・ギディルの支族サードです。1990年、ソマリ国立大学で土木工学を学びましたが、内戦のために卒業を断念しました。内戦を避けるため1992年にスウェーデンに移住し、5年後にスウェーデン市民権を取得しました。2000年には、スウェーデン王立工科大学で環境工学および持続可能な公共設備の修士号を取得しています。ソマリ語、英語、スウェーデン語に堪能です。

国連でのキャリア

2006年から14年間、ナイロビの国際労働機関など、国連関連組織で勤務しました。この間、国際的な舞台での経験を積み、多様な文化や視点に触れる機会を得ました。

ソマリア首相として

2020年9月17日、当時の大統領であったファルマージョ大統領によって首相に任命されました。9月23日には議会で全会一致の承認を得て、正式に首相に就任しました。ローブルが首相に選ばれた背景には、彼が議会の多数派であるハウィエ氏族出身であることが挙げられます。また、ファルマージョ大統領の議会対策や次期大統領選挙対策としての側面もあったと指摘されています。10月19日には新内閣の閣僚を指名し、組閣を果たしました。

大統領との対立と政治的混乱

ローブルの首相在任期間は、ファルマージョ大統領との対立によって大きく左右されました。2021年2月8日に予定されていた大統領選挙をめぐり、中央政府と州の間で投票方法に関する対立が深刻化しました。合意が得られないまま選挙は延期され、政治的な空白状態が続きました。下院議会はファルマージョ大統領の任期を2年間延長する法案を可決しましたが、上院議長が違憲であると批判するなど、混乱は収まりませんでした。その後、ローブル自身も任期延長に反対を表明し、事態はさらに複雑化しました。

2021年9月には、国家情報安全保障局(NISA)の局長解任をめぐって、大統領との対立が再燃しました。ファルマージョ大統領は解任を無効とし、ローブルからポスト任免権を取り上げると発表しましたが、ローブルはこれに反発しました。両者の対立は激化し、一時は首相権限の停止にまで発展しました。2022年に入っても、選挙実施に向けた溝は埋まらず、政治的な緊張状態が続きました。

退任

2022年6月25日、ハムザ・アブディ・バーレが後任の首相に就任し、ローブルは約2年間の任期を終えました。彼の首相在任期間は、ソマリアの政治的安定と民主主義の確立に向けた課題が山積していることを浮き彫りにしました。首相退任後も、ソマリアの将来にどのように貢献していくのか、その動向が注目されています。

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