モバイルコンテンツ審査・運用監視機構

モバイルコンテンツ審査・運用監視機構（EMA）について

一般社団法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構（通称EMA）は、日本における携帯電話事業者が提供するフィルタリングサービスの公正性と透明性を確保するために2008年に設立されました。この機関は、特に青少年がインターネット上で安全にコンテンツを利用できるように、審査と運用監視を行う役割を果たしていました。しかし、2018年に解散し、認定コンテンツの運用監視は2019年に終了しています。

設立の背景

青少年の携帯電話の普及とインターネットの発展により、子どもたちが移動中にさまざまなコンテンツに触れられる環境が整いました。しかし、フィルタリングサービスの対象年齢が広いため、それぞれの個人の価値観に適応できる仕組みが不十分でした。このため、フィルタリングを使わない選択をせざるを得ないというリスクが生まれました。さらに、携帯電話事業者によるフィルタリングの基準が不透明であり、この恣意性が問題視されていました。

2008年4月、総務省は携帯電話事業者に対し、フィルタリングサービスの見直しを求め、第三者機関による認定基準の導入を促しました。この指導を受けて、EMAはフィルタリングサービスの改善を行うために設立されました。

機関設計

EMAの設立理念の一環として、審査を行うための独立した委員会が設けられました。理事会はサイト認定の権限を持たず、基準策定委員会や審査・運用監視委員会に対して指揮・監督権を持たない形で、中立性が保たれています。これにより、利害関係のない第三者が審査を行える仕組みが生まれました。また、認定制度の運用が始まった2008年8月以降、ウェブサイトにおける認定情報が公開されるようになりました。

認定制度

EMAは、特に青少年の利用を想定した双方向サイト（SNS、ブログ、電子掲示板など）に対し、運用管理体制が適切であるかどうかを審査します。審査は基本方針やサイトパトロール体制、ユーザー対応、啓発教育の4分野にわたり、22項目が基準として設けられています。認定後も定期的なレポートの提出が必要であり、EMAはその内容を監視し、必要に応じて是正措置を求めることができます。

問題点

しかし、EMAには重要な問題が存在していました。それは、認定されたサイトが、実際には青少年を危険に晒す要因となっていることです。2009年には、児童が犯罪被害に遭う原因の多くがEMAに認定されたサイトであるという調査結果が出されています。その後も、さまざまな調査で認定されたサイトが不適切なコンテンツを含んでいるとされ、フィルタリングの実効性に対する疑問が浮上しました。

このように、モバイルコンテンツ審査・運用監視機構は、青少年を守るために設立されたものの、その運用や基準に関しては多くの問題を抱え続けました。結果的に、2018年には解散の運びとなり、青少年の安全性を確保するための新たなアプローチが求められています。これからのインターネット環境において、どのようにして青少年を守るのか、社会全体で考えていく必要があります。

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