モラクセラ

モラクセラ属（Moraxella）について

モラクセラ属は、細菌の一種であり、Pseudomonadota門、ガンマプロテオバクテリア綱、シュードモナス目、モラクセラ科に分類される真正細菌です。この属に属する細菌は、グラム陰性球菌であり、ヒトや動物の口腔、上気道、性器の粘膜に常在しています。

主な種類とその特徴

モラクセラ属にはいくつかの種が存在しますが、特に重要なのは以下の2つです。

1. モラクセラ・カタラーリス (Moraxella catarrhalis)
呼吸器感染症の主要な原因菌の一つです。
成人市中肺炎の起炎菌としても検出されることがあります。
ほとんどがβ-ラクタマーゼを産生するため、抗生物質の選択には注意が必要です。
治療には、アモキシシリン/クラブラン酸合剤、ST合剤、経口第2世代または第3世代セフェム系、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、フルオロキノロン系などが推奨されます。

2. モラクセラ・オスロエンシス (Moraxella osloensis)
洗濯物の部屋干し時に発生する悪臭の原因菌として同定されています。
増殖する際に、雑巾のような悪臭を放つ4-メチル-3-ヘキセン酸という物質を生成します。

モラクセラ属の感染症

モラクセラ属による感染症は、主に呼吸器系に見られます。特にモラクセラ・カタラーリスは、中耳炎、副鼻腔炎、肺炎などの原因となることがあります。これらの感染症は、免疫力が低下している場合や、基礎疾患を持つ人に多く見られます。

治療上の注意点

モラクセラ属の細菌は、β-ラクタマーゼを産生するものが多いため、ペニシリン系抗生物質に対する耐性を持つことがあります。そのため、感染症の治療には、β-ラクタマーゼ阻害薬との併用や、その他の抗菌薬を使用する必要があります。

その他の関連情報

モラクセラ属の細菌は、様々な環境に生息しており、自然界にも広く分布しています。また、一部の種は動物の感染症の原因となることもあります。例えば、牛伝染性角結膜炎は、モラクセラ・ボビス (Moraxella bovis) の感染によって引き起こされることが知られています。

まとめ

モラクセラ属は、ヒトや動物の健康に関わる重要な細菌群です。特に呼吸器感染症の原因となるモラクセラ・カタラーリスや、部屋干しの悪臭の原因となるモラクセラ・オスロエンシスについては、その特徴を理解し、適切な予防と治療を行うことが重要です。

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