モラーヌ・ソルニエ L

モラーヌ・ソルニエ L

モラーヌ・ソルニエ L（Morane-Saulnier L）は、第一次世界大戦中に活躍したフランスのパラソル翼飛行機です。その最大の特長は、プロペラの回転面を通して銃弾を発射できる構造にありました。これにより、戦闘機としての新たなコンセプトが生まれました。

この機体は、単座または複座型があり、前方に向けて1挺の機関銃が装備されています。機銃の前方には特別な装甲が施されており、プロペラのブレードに沿って銃弾が発射される方式が採用されていました。このデザインによって、パイロットはより多くの敵機を効果的に攻撃することができました。

歴史

第一次世界大戦が勃発すると、フランス空軍は「MS.3」という名称で、モラーヌ・ソルニエ Lの大量生産を指示しました。この機体は約600機が生産され、フランス空軍に加え、イギリス陸軍航空隊や海軍航空隊、ロシア帝国の航空隊でも運用されました。

1914年12月、フランス空軍第23飛行隊に所属していた著名な飛行士ローラン・ギャロスが、この機体に機関銃を取り付けることを提案しました。彼の提案を受けて、ソルニエは機械式の同調試験を行いましたが、最終的にはプロペラブレードを保護するシンプルな方式に戻りました。ギャロスの整備士がこの装備を改良し、プロペラブレードの弾道部分に弾丸を弾き返す楔を取り付けた結果、彼は1915年3月に敵機との戦闘に参加し、4月には3機を撃墜する成果をあげました。

しかし、1915年4月18日、ギャロスはドイツ前線の後方に着陸し、捕虜となる運命に。これがきっかけとなり、ドイツも同様の戦闘機の開発を始め、5月にはフォッカー アインデッカーが登場しました。この機体には機銃とプロペラの同調システムが搭載されており、第一次世界大戦における空戦の様式を一変させました。

歴史的に重要なのは、1915年7月1日にドイツの中尉クルト・ヴィントゲンスが運用するフォッカー M.5K/MGが初めての戦闘機戦でモラーヌ・ソルニエ Lを撃墜したことです。これにより、モラーヌ・ソルニエの運用国はさらに広がり、イギリスの航空隊にも約50機が供給され、偵察任務などに利用されました。イギリス海軍航空隊でも25機が配備され、特に1915年6月7日には、艦載機がツェッペリンLZ37を撃墜するという初の事例が記録され、操縦士はその功績によってヴィクトリア十字勲章を受けました。

運用国

モラーヌ・ソルニエ Lは、以下の国々で運用されました：

• - フランス
• - イギリス（陸軍航空隊、海軍航空隊）
• - ウクライナ（3機）
• - オランダ（1機）
• - スイス（1機）
• - スウェーデン
• - チェコスロバキア（1機）
• - フィンランド（2機）
• - ペルー
• - ベルギー
• - ポーランド
• - ルーマニア
• - ロシア帝国
• - 日本（以上の国々の中でも、陸軍が教育時に使用した3機が含まれています。）

諸元

• - 乗員：1または2
• - 全長：6.88 m
• - 全高：3.93 m
• - 翼幅：11.20 m
• - 運用時重量：655 kg
• - 動力：ル・ローヌ9C ロータリー式9気筒レシプロエンジン（60 kW/80 hp）×1基
• - 最大速度：115 km/h
• - 航続距離：2時間30分
• - 実用上昇限度：4,000 m
• - 武装：7.9 mm ホッチキス機銃 1挺

このようにモラーヌ・ソルニエ Lは、戦闘機としての革命的なデザインで、第一次世界大戦における航空戦術に大きな影響を与える存在となりました。

もう一度検索