モリのいる場所

映画『モリのいる場所』

2018年5月19日に公開された『モリのいる場所』は、沖田修一監督による日本映画で、94歳の画家熊谷守一の晩年の一日を描いた作品です。主人公の熊谷は、97歳でその生涯を終えるまで、自宅で多くの時間を過ごし、庭やそこに生きる生命を細やかに観察し続けました。映画は彼の静謐な生活を通じて、時の流れや人との関わり、美や創造性の大切さを思い起こさせます。

あらすじ

物語は昭和49年の東京都豊島区から始まります。熊谷守一、通称モリは、自宅の古い平屋に住み、30坪にも満たない庭でひたすら絵を描き続けています。彼の日常は、外に出ることなく庭を巡って過ぎていき、深い池を自ら掘り、その周りを虫や植物の観察に夢中になっています。彼を見送る妻の秀子は、彼のアトリエの支えであり、彼の作品の理解者です。

熊谷の生活は決して贅沢ではなく、彼は主に夜に絵を描き、日中は庭での観察を楽しんでいます。しかし、近隣にマンションが建設されようとしていることが、彼の静かな生活に影を落とします。陽光を遮ることを心配し、そこここには若い芸術家たちが書いた「建設反対」の看板が立てられています。モリは文化勲章の内示の電話も断ったようです。

モリの生活に賑わいを与えるのは、日頃の来客です。揮毫を依頼する人々や取材に訪れるカメラマン、近所の住人たちが集まり、彼を訪問することで、時折賑やかな雰囲気が立ち込めます。モリは、外に出ないことでからかわれ、自ら一歩を踏み出そうとしますが、驚くような出来事が待ち受けていることは知りませんでした。

マンションの建設が始まる中で、モリは作業員たちとも友好的な関係を築きます。池の穴を埋める代わりに、彼は手づくりの宴会をもてなし、作業員たちと共に時間を過ごします。モリは、「母ちゃんが疲れることが一番困る」とつぶやきながらも、彼は夢の中で宇宙人に広い宇宙の扉を開いてもらいますが、敢えてその誘いを断ります。「この庭で十分」と、多くの生命とともに自らの世界を大切にし続けたのです。

キャストとスタッフ

主演の熊谷守一役には山﨑努、妻の秀子役には樹木希林が登場し、二人は50年以上の付き合いを経て本作で初めて共演します。この他にも、多彩なキャストが参加しており、物語に深みを与えています。監督の沖田修一は、この作品で特に高く評価され、様々な映画賞を受賞しました。

受賞歴

『モリのいる場所』は多くの賞を受けており、例えば第10回TAMA映画賞では特別賞を受賞しました。また、樹木希林は第43回報知映画賞で助演女優賞を受賞し、彼女の演技力が広く称賛されました。

まとめ

この映画は、熊谷守一の静かな生活を通じて、人の心に寄り添う深いメッセージを伝えています。日常の中の美しさや静寂の大切さを思い出させてくれるこの作品は、多くの人に感動をもたらすことでしょう。

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