モルドバ暴動

モルドバ暴動：2009年選挙を巡る混乱

2009年4月7日、モルドバで発生した暴動は、同国の政治情勢を大きく揺るがす出来事となりました。この暴動は、議会選挙の結果に対する抗議活動が激化したもので、若者を中心としたデモ隊が暴徒化し、政府庁舎を一時占拠するなどの騒ぎに発展しました。

暴動の背景

2009年4月5日に行われたモルドバ議会選挙では、ウラジーミル・ヴォローニン大統領率いる与党共産党が60議席を獲得し、第一党となりました。しかし、野党支持者らは選挙に不正があったと主張し、抗議活動を開始。「共産党は去れ！」というスローガンを掲げ、デモ隊は首都キシナウの中心部で激しい抗議活動を行いました。

暴動の激化

抗議活動は次第にエスカレートし、デモ隊は政府庁舎や議会を一時的に占拠。一部のデモ参加者は、政府庁舎に欧州連合（EU）の旗や隣国ルーマニアの国旗を掲げるなど、混乱はさらに拡大しました。この暴動により、一人のデモ参加者が死亡し、約270人が負傷、200人が逮捕されるという惨事となりました。4月8日、警官隊が介入し、政府庁舎を奪還、騒ぎは収束に向かいました。

暴動の余波

ヴォローニン大統領は暴動を「クーデター」と非難し、ルーマニアが関与していると主張。ルーマニア大使に国外退去を命じました。ルーマニア外務省は、これを国内問題の責任転嫁だと反論しましたが、ロシアもルーマニアの関与を示唆し、EUに適切な対応を要求しました。この事件は、グルジアのバラ革命やウクライナのオレンジ革命など、東欧における欧米接近の動きが依然として強いことを示すものとなりました。

また、共産党は60議席を獲得したものの、大統領を単独選出するために必要な61議席には届かず、野党の切り崩しが必要となりました。しかし、選挙不正を訴える野党の結束は固く、その試みは失敗に終わりました。モルドバ憲法裁判所は、選挙から9日以内に票の再集計を命じましたが、結果は変わらず、共産党の勝利が確定しました。

ルーマニア政府は、1940年のソ連によるベッサラビア併合以前にルーマニア市民であった者とその子孫で、モルドバに住んでいる人々に対してルーマニア国籍を認める決定をしました。この決定は、約100万人が対象となるとされ、ヴォロニン大統領はこれを「モルドバ国民を差別化する屈辱的な決定だ」と強く非難。モルドバとルーマニアの関係は緊張を高めました。

2009年5月には大統領選挙が行われましたが、野党はこれをボイコット。2度目の選挙も同様にボイコットされたため、憲法の規定に基づき議会は解散されることになりました。

国際的な影響と教訓

モルドバ暴動は、国内の政治的不安定さだけでなく、周辺国との関係や国際社会への影響も浮き彫りにしました。この事件は、東欧地域における政治変動の激しさを改めて示し、今後の国際関係を考える上で重要な教訓となっています。

関連事項

色の革命
バラ革命
* オレンジ革命

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