モルビデリ

モルビデリ (Morbidelli) について

モルビデリはイタリアに本拠を置くオートバイメーカーで、創業者のジャンカルロ・モルビデリがペーザロで設立しました。国際的に有名なオートバイメーカーとして、特に1970年代に125ccのロードレーサーで数々の成功を収めました。

会社の成り立ち

創業当初、モルビデリ社は木工業を主な業務としており、家具や自動車の木製ボディの製造に従事していました。企業は成長し、300人もの従業員を抱えるまでになりましたが、ジャンカルロの真の情熱はオートバイとそのレースに向けられていました。木工業は、彼にとってオートバイレースの資金を得る手段に過ぎなかったのです。

レースへの挑戦

1969年、モルビデリは自社製のチームを結成し、ロードレース世界選手権の50ccクラスに参戦します。その年、フランコ・リンギーニが設計した水冷式ディスクバルブの125ccエンジンが開発されました。1972年初頭、イタリアのライダー、ジルベルト・パロッティが125ccクラスで2勝を挙げるも、残念ながらマン島TTレースで事故に遭い、命を落とすという悲劇が発生しました。

この悲劇を経ても、モルビデリは挑戦を続けます。1974年には元クライドラーの設計者であるヨルク・ミュラーがマシンの開発を担当し、1975年にはパオロ・ピレリがライディングすることで125ccクラスのチャンピオンを獲得します。さらに翌1976年には、ピエール・パオロ・ビアンキがチャンピオンとなり、モルビデリの存在感を強めました。

1977年には、ビアンキが125ccクラスで2度目の連覇を果たし、250ccクラスではマリオ・レガがチャンピオンに輝き、モルビデリは両クラスを制覇する大きな成功を収めます。この時期に、モルビデリはレース用マシンをプライベーターに販売し始め、ベネリ社の協力を得て、ペーザロにMBA工場を設立し、125ccと250ccクラスのマシンを製造・販売する体制を整えました。

モルビデリは1982年まで、ロードレース世界選手権に参戦し続け、ジャンカルロ・モルビデリの息子であり、レースドライバーとしての成功を収めたジャンニ・モルビデリもF1で表彰台に立つ実績を持っています。

革新的なモルビデリ・V8

モルビデリは1994年に、液冷32バルブ・847cc90°V8エンジンを搭載した革新的なスポーツツアラーバイクを開発しました。このモデルはシャフトドライブとマニュアル5速を備えていましたが、製造コストが非常に高額であったため、量産には至りませんでした。にもかかわらず、そのエキゾチックなデザインは高く評価され、ニューヨークやビルバオ、ラスベガスなどの世界各地のグッゲンハイム美術館やバーミングハムのバーバー・モータースポーツ・パークに展示されることとなりました。

現在のモルビデリ

現在、ペーザロにあったモルビデリの工場はモーターサイクルの博物館として再利用されており、クラシックバイクやかつて選手権を競ったマシンが展示されています。この博物館はモルビデリの輝かしい歴史と栄光を今に伝える貴重な場所となっています。

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