モレーベン

モレーベンとは、スラヴ系の伝統を持つ正教会において、感謝や祈願のために行われる短い奉神礼です。この奉神礼は、イイスス・ハリストス（イエス・キリスト）に神の憐れみを願ったり、生神女マリヤや他の聖人に執り成しを願ったり、あるいは純粋に神への感謝を捧げるために執り行われます。

日本正教会においては、モレーベンという言葉は、特に感謝祈祷を指す慣習があります。歴史的には、「祈禱禮儀」という漢字表記に「モレベン」のルビを振った用例が祈祷書に見られますが、20世紀後半以降、この表記はほとんど使われなくなりました。

モレーベンは、単独で執り行われるだけでなく、聖体礼儀と続けて行われることもあります。通常は司祭によって執り行われますが、一般信徒向けに編纂された次第を用いることで、信徒のみで行うことも可能です。ただし、2014年6月現在、日本正教会では、一般信徒が日本語でモレーベンを行うための次第は、教団によっては編纂されていない場合があります。

モレーベンはスラヴ系の正教会における奉神礼ですが、ギリシャ系の正教会では、カノンを含む「パラクリシス」（ギリシア語: Παράκλησις, ロシア語: Параклис, 英語: Paraklesis）が同様の目的で執り行われます。ただし、パラクリシスもスラヴ系の正教会で用いられることがあります。

モレーベンは、正教会の信仰生活において、個人の祈りや共同体の祈りの重要な一部をなしています。信徒は、神の恵みや導きを求め、感謝を捧げるために、モレーベンを通して祈りを深めます。その内容は、日々の生活における様々な願いや感謝、また特定の出来事や記念日に関連した祈りなど、多岐にわたります。

モレーベンは、その簡潔さにもかかわらず、正教会の信仰における深い意味と重要性を持ち合わせています。それは、神との親密な交わりを求め、神の恵みを体験するための、古くから伝わる大切な祈りの形式です。

以下は関連する外部リンクです。

感謝祈祷（モレーベン） - 日本正教会における感謝祈祷の次第 - 日本正教会における感謝祈祷の次第 （日本語）
The Order of the General Moleben - according to usage in the Russian Orthodox Church - ロシア正教会におけるモレーベンの次第 （英語）
* Thanksgiving Moleben - ロシア正教会における感謝祈祷の次第 （英語）

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