モンキーポッド

モンキーポッド（Albizia saman）

モンキーポッドは、学名をAlbizia samanとするマメ科ネムノキ属の常緑高木で、南アメリカの熱帯地域が原産です。日本で特に有名なのは、ハワイ・オアフ島のモアナルア・ガーデンにある大樹で、日立グループのテレビCM「この木なんの木」の題材として知られています。この大樹は「日立の樹」として、多くの人に親しまれています。

1. 植物としての特徴

モンキーポッドは、通常約25メートルの高さに成長し、枝張りは最大で40メートルにも達します。木の形は左右対称に大きく広がり、非常に美しい樹冠を形成します。葉は2回羽状複葉で、シダに似た形状をしています。特筆すべきは、葉は日中太陽が昇るとともに開き、午後になると閉じる特性があり、これを就眠運動と言います。この現象から、降雨の前には葉が閉じるため「レインツリー」という名前もつけられています。

ここで面白いのは、セミが分泌する樹液が雨のように落ちることが名前の由来の一つとも言われています。モンキーポッドは、年に2回、5月と11月頃に美しい花を咲かせます。花の色は赤みがかったピンクからクリーム色がかった黄色で、色合いはさまざまです。

2. 歴史と文化

著名な生物学者であるアレクサンダー・フォン・フンボルトは、自身の著作『新大陸赤道地方紀行』の中でも、ベネズエラのマラカイで見たモンキーポッドの巨木を「Zamang del Guayre」と称賛しています。この木はその後も生き続け、ベネズエラでは「サマン・デ・グエレ」と呼ばれ、国宝として保護されています。

3. 材木としての利用

モンキーポッドの材木は、灰白色の辺材に対して、心材は金褐色をしています。地域によっては濃い縞模様が見られ、色調も異なります。日本では主にテーブルや座卓に使われますが、原産地では家具や民芸品、工芸品など多岐にわたって利用されています。また、インドネシアでは「Suar Wood（スアー）」という名で販売され、高く評価されています。

4. 観賞用植物としての育成

モンキーポッドは観賞用としても人気がありますが、育成にあたっては適温が20〜35℃とされ、10度以下の寒さには弱いため、沖縄などの温暖な地域を除いて日本の屋外栽培は難しいです。種子はヒマワリの種程度の大きさで、繁殖も可能です。多くの人々に愛される美しい木であり、部屋の中で育てることで温かみのある空間を作り出すことができます。

モンキーポッドは、自然の美しさを享受するだけでなく、文化や実用性も兼ね備えた木で、その存在は様々な形で私たちの生活に彩りを与えてくれます。

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