モンクット王工科大学ラートクラバン校

モンクット王工科大学ラートクラバン校（King Mongkut's Institute of Technology Ladkrabang、略称：KMITL）は、タイ王国の首都バンコク都ラートクラバン区に本部を置く国立大学です。1960年にその前身が創設され、1964年に大学として正式に設置されました。

概要

タイ王国の急速な工業化が進む中で、KMITLは国家が必要とする高度な工科系人材を育成・供給する上で中心的な役割を果たしています。大学の設立およびその後の発展は、日本政府からの無償資金協力や技術協力、さらには日本の東海大学およびその創立者である故・松前重義氏からの多大な支援によって強力に後押しされてきました。こうした国際的な協力関係は、現在も大学の重要な特色の一つとなっています。近年では、2017年5月にタイ国内の法整備が進められた結果、その第1号案件として米国のカーネギーメロン大学のブランチキャンパスが学内に設立されるなど、国際的な連携も活発に行われています。

沿革

大学の歴史は、1960年に設立された「ノンタブリ電気通信訓練センター」に始まります。1964年には、このセンターが3年制の高等教育機関である「ノンタブリ電気通信大学」としてタイ王国の教育システムに組み込まれました。その後、1971年に現在の正式名称である「モンクット王工科大学ラートクラバン校」へと改称されるとともに、教育課程が5年制に拡充され、国立大学として再編成されました。大学院課程の設置も進められ、1976年には修士課程が、そして1982年にはタイ王国で初となる電気工学分野の博士課程が設置されました。2012年には創立50周年を迎え、長い歴史の中で教育・研究機関としての地位を確立しています。近年では、2016年4月に医学部が新設されるなど、その教育・研究領域をさらに広げています。

組織・構成

KMITLは、工学分野を中心に非常に幅広い学術領域をカバーする多様な学部・学科を有しています。主要な学部としては、言語学部、タイの工業を支える中核である工学部、創造性を養う建築学部、国の基盤を支える農学部、教育分野に貢献する産業教育学部、基礎科学を探究する理学部などがあります。さらに、国際的な教育プログラムを提供する国際学部、現代社会に不可欠な技術を扱うソフトウェア・エンジニアリング学部、情報技術学部が設置されています。2016年に設置された医学部は、提携するSirindhorn HospitalやLat Krabang Hospitalを教育病院として活用しています。

大学院研究科（School of Graduate Studies）では、修士課程および博士課程が提供されており、情報通信技術研究センターのような専門性の高い研究機関も設置されています。

学部・学科の例を以下に示します。

言語学部
日本語学科
英語学科
工学部
化学工学科
土木工学科
コンピュータ学科
計装制御学科
電気工学科
電子工学科
農業工学科
食品工学科
生産工学科
機械工学科
電気通信工学科
建築学部
建築学科
内装建築学科
工業デザイン学科
コミュニケーション・アート＆デザイン学科（通信設計、映像・フィルム、写真学専攻）
美術学科（絵画、彫刻、製版専攻）
都市計画学科
農学部
植物生産技術学科
農学科
園芸学科
家畜生産技術学科
畜産学科
農業経営管理学科
農業開発学科
土壌学科
農薬管理学科
産業教育学部
工学教育学科
建築教育学科
農業教育学科
産業教育学科
社会言語学科
理学部
生物学科
化学学科
コンピュータ・サイエンス学科
数学科
物理学科
* 統計学科

国際交流

特に日本との結びつきが強く、多くの日本の大学や高等専門学校との間で学術交流協定を結んでいます。東海大学、室蘭工業大学、東京工業大学、電気通信大学など、多数の機関との協定に基づき、学生や研究者の交流が活発に行われています。これは、設立当初からの日本との協力関係が継続・発展していることを示しています。

KMITLは、タイの技術進歩と産業発展を牽引する重要な役割を担い、国際的な連携も深めながら、将来に向けてさらなる教育・研究水準の向上を目指しています。

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