モンスターハンター (漫画)

『モンスターハンター』は、飯塚幸弘による原作と平松伸二による作画で1987年の『週刊少年ジャンプ』増刊号に掲載された漫画作品です。巨漢の主人公シバァが、個性的なモンスターたちと戦う姿を描いたダークファンタジー作品として知られています。

主人公シバァは、身長2メートルを超える巨漢で、並外れた怪力と、鎧のように硬い肉体を持ちます。全身には無数の傷があり、その傷はモンスターを倒すたびに消えていくという設定です。武器は巨大なカタールを二刀流で使用し、チャクラを覚醒させることで超人的な力を発揮、さらに治癒能力も持ち合わせています。

物語は、シバァが次々と現れるモンスターたちを相手に壮絶な戦いを繰り広げる様子を描いています。登場するモンスターたちも個性的で、それぞれに特徴的な能力と背景を持っています。

例えば、蛇のような尻尾を持つ蛇男や、3000年も前から村を支配してきた熊男、鋼の体毛を持つ獣王虎、カルシウムしか食べない魔魅夜、そして人間を骨だけにする死海獣など、様々なモンスターが登場し、シバァはそれぞれのモンスターとの戦いで、苦悩や葛藤を経験しながら成長していきます。

特に、獣王虎との戦いは、物語における重要な転換点となります。かつて人間を襲っていた獣王虎は、駅長夫婦との出会いを通して「優しさ」を知り、人間として生きることを決意します。しかし、その幸せな日々は長く続かず、人間への憎悪から再び獣人としてシバァの前に現れます。この戦いは、獣王虎の過去と、シバァの信念がぶつかり合う緊迫した展開となっています。

魔魅夜もまた、複雑な背景を持つモンスターです。カルシウム欠乏症による突然変異で、男の頭蓋骨を吸って生きるという残酷な存在ですが、主人公シバァとの出会いを経て、愛を知ることで変化していきます。

死海獣は、水産会社の社長として表の顔を持ちながら、裏では工場の廃液を排出させて海を汚染するなど、人間社会に潜む悪意を象徴する存在として描かれています。

これらのモンスターとの戦いを経て、シバァはモンスターハンターとしての成長だけでなく、人間や社会、そして命の尊さについて深く考えさせられます。

『モンスターハンター』は、単なるモンスター退治物語にとどまらず、人間の業や心の闇、そして愛や優しさといった普遍的なテーマを織り交ぜた、奥深い物語となっています。平松伸二氏の力強い作画と、飯塚幸弘氏の練られたストーリーが融合した、独特の世界観を持つ作品と言えるでしょう。

なお、本作は『モンスターハンターII』、『モンスターハンターIII』とシリーズ化されており、それぞれの作品で新たなモンスターやシバァの活躍が描かれています。これらの作品は、1989年に発売された『モンスターハンター 平松伸二短編集』に収録されています。この短編集には、シリーズ3作に加え、『モモタロー'87』も収録されており、平松伸二氏の幅広い作風を堪能できる一冊となっています。

もう一度検索