モンスター13号

モンスター13号

『モンスター13号』（英: The Monster Men）は、アメリカの著名な作家エドガー・ライス・バローズによるSF小説です。本作は、東京創元社から出版された「合本版・火星シリーズ第4集火星の古代帝国」に収録されている新訳版を基にしています。初出は1913年で、オール・ストーリーに掲載された『魂のない男』という題名でした。後に1929年に単行本化され、タイトルも『怪物たち』に改名されています。また、現在までに日本語訳は2社から提供されています。

概要

作品の中心テーマは、「美と知性を持つ生命の人工的創造」を目指したマッドサイエンティストの挑戦です。物語は、人工生命に「魂」や「愛」が宿るのかという哲学的な問いを通じて進展し、主人公ブラン（13号）を取り巻く恋愛と冒険の要素が描かれています。

あらすじ

高校の助教授であるアーサー・マクスン教授は、人工生命の創造に取り組むが、その実験は失敗に終わります。その翌日、娘のヴァージニアを連れてニューヨークへ向かう途中、駅で出会った青年タウンゼント・J・ハーパー・ジュニアは彼女に恋をします。

マクスンは船旅を通じて名誉欲に駆られ、再び実験を試みることを決意します。小型船イサカ号でパマルン諸島に渡った彼は、人造人間の創造を再開します。しかし、これまでに誕生した人造人間たちは容貌が醜く、知能も低いものでした。特に、13番目の個体であるブランの誕生は、マクスンに驚きと期待をもたらしました。

13号は、その美しい容姿と巨体を持ちますが、マクスン教授は彼を人造人間の代表として、自らの娘ヴァージニアを嫁がせることを企むうちに狂気に取り憑かれていきます。そして、1号という初期の人造人間が脱走し、ヴァージニアを襲う事件が発生。この時、13号が1号と戦い、ヴァージニアを救出します。

一方、フォン・ホルンという医師は教授の助手を務め、彼の財産とヴァージニアの奪取を企てるようになります。フォン・ホルンは13号に「君は魂のない怪物だ」と吹き込み、彼を苦悩させます。その結果、13号はマクスン教授に対して殺意を抱くことになります。

そして、ダヤク族の酋長ムダ・サフィールがヴァージニアを狙う事件も重なり、物語がテンポよく展開します。ヴァージニアは数回にわたり危険にさらされ、13号（ブラン）は彼女を守るために戦います。物語のクライマックスでは、教授の意識が明確でなくなり、13号は仲間たちを統率しコントロールすることになります。

登場人物

• - 13号（ブラン）: 物語の主人公であり、マクスン教授によって創造された生命体。知性を持ちながらも、自身の存在意義を模索します。
• - ヴァージニア・マクスン: ヒロインで、教授の娘。行動力に満ちた性格。
• - アーサー・マクスン教授: 自らの野心から人造人間を生み出そうと試みる狂気のサイエンティスト。
• - フォン・ホルン: 教授の助手であり、悪の策略を巡らせる人物。
• - ムダ・サフィール: ダヤク族の酋長で、ヴァージニアを捕らえようとする。
• - タウンゼント・J・ハーパー・ジュニア: ヴァージニアに一目惚れした青年。

結論

『モンスター13号』は、エドガー・ライス・バローズが描く独特な世界観と人間の倫理に対する問いかけを具現化した作品です。人造人間の存在を通じて、真の愛とは何か、人間とは何かを問い直す内容は、現代でも多くの読者にとって興味深いテーマとなっています。

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