モンタルチーノ

イタリア、トスカーナの古都モンタルチーノ

モンタルチーノは、イタリア共和国トスカーナ州シエナ県に位置する、人口約5,600人の基礎自治体（コムーネ）です。その名は、ラテン語で「トキワガシの山」を意味し、かつてこの地域を覆っていたオークの木々に由来します。特に、高級ワイン「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」の産地として世界的に知られています。

地理

モンタルチーノはシエナ県南部に位置し、その領域はほぼ四角形をしています。西と南はグロッセート県と接し、ピエンツァから西へ約16km、県都シエナから南南東へ約32km、グロッセートから北東へ約45kmと、トスカーナ地方の中心部に位置しています。

隣接するコムーネには、北にブオンコンヴェントやアシャーノ、東にトレクアンダ、南東にサン・クイーリコ・ドルチャやピエンツァ、南にカスティリオーネ・ドルチャ、南西にカステル・デル・ピアーノ（グロッセート県）、西にチニジャーノ（グロッセート県）やチヴィテッラ・パガーニコ（グロッセート県）、北西にムルロがあります。

モンタルチーノの気候は、イタリアの気候分類でzona Eに分類され、地震リスクは低いzona 3に分類されます。

主要な集落は、本村であるモンタルチーノ（約2000人）を中心に、北東部にトッレニエリ（約1200人）、南東部にカステルヌオーヴォ・デッラバーテ（約200人）、南部にサンタンジェロ・イン・コッレ（約150人）やスタツィオーネ・サンタンジェロ＝チニジャーノ（約200人）があります。高台にある本村からは、オリーブ園やブドウ畑、点在する村々など、トスカーナの壮大な風景を一望できます。

歴史

モンタルチーノの丘には、おそらくエトルリア時代から人々が定住していたと考えられています。史料に初めて登場するのは814年のことで、この文書から9世紀には教会があり、近隣のサンタンティモ修道院の修道僧と関係があったことが示唆されています。10世紀半ばには、近隣のロゼッレから逃れてきた人々が移り住み、人口が急増しました。

中世には皮革生産で栄え、高級な革製品を製造していました。しかし、高台の町々は徐々に衰退していきました。モンタルチーノは平和な時代を謳歌しましたが、しばしば動乱によって中断されました。中世後期には、ローマとフランスを結ぶ古代街道「ヴィア・フランチジェナ」沿いに位置し、重要な独立したコムーネでした。しかし、やがてシエナ共和国の支配下に入ります。

1260年のモンタペルティの戦い以降、モンタルチーノはシエナの衛星都市となりましたが、シエナが巻き込まれた紛争に巻き込まれることとなりました。1555年には、シエナ共和国はメディチ家のフィレンツェ共和国に征服され、モンタルチーノは4年間の抵抗の後、フィレンツェの支配下に置かれました。その後、1861年にイタリア王国に編入されるまで、フィレンツェの支配下にありました。

産業と経済

モンタルチーノの経済は、「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」の生産によって大きく成長しました。このワインは、この地で栽培されるサンジョヴェーゼ・グロッソ種から作られます。1960年代には11軒だったワイン生産者は、現在では200軒以上に増え、年間33万ケースが出荷されています。「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」は、DOCG（保証付き統制原産地呼称）に指定された最初のワインです。

「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」は5年間の熟成が必要で、リゼルヴァワインは6年、サンジョヴェーゼ・グロッソで作られ1年寝かせた「ロッソ・ディ・モンタルチーノ」など、様々なトスカーナワインが生産されています。

文化と観光

モンタルチーノには、中世の面影を残す美しい街並みと、豊かな自然が調和しています。特に、サンタンティモ修道院は、ロマネスク様式の建築が美しく、歴史を感じさせる場所です。また、ワイン造りの歴史を学べる博物館や、テイスティングを楽しめるワイナリーも多く、ワイン愛好家にとっては見逃せないスポットです。周辺には、トスカーナの美しい景色が広がり、ドライブやサイクリングを楽しむこともできます。

モンタルチーノは、ワイン、歴史、文化、自然が融合した魅力的な場所であり、多くの観光客を惹きつけています。

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