モンテネグロ社会主義共和国

モンテネグロ社会主義共和国（セルビア・クロアチア語：Socijalistička republika Crna Gora, Социјалистичка република Црна Гора）は、ユーゴスラビア社会主義連邦共和国（SFRユーゴスラビア）の一構成国であり、現在のモンテネグロの直接的な前身です。この共和国は、第二次世界大戦中に勃興したパルチザンによる抵抗運動の中から生まれました。

建国と変遷

1943年、枢軸国の占領下にあったユーゴスラビアにおいて、パルチザンはモンテネグロ人民解放国家反ファシスト委員会の第1回会合を開催しました。この会合で、戦後のユーゴスラビアを連邦国家として再編する構想が示され、その構成国の一つとしてモンテネグロ国家の設立が決定されました。当初は「モンテネグロ人民共和国」という名称でしたが、1963年7月7日、ユーゴスラビア憲法およびモンテネグロ独自の憲法改正を経て、「モンテネグロ社会主義共和国」へと改称されました。

言語と国家の性質

モンテネグロ社会主義共和国では、セルビア・クロアチア語が公用語として用いられました。また、ユーゴスラビアの憲法体制下において、モンテネグロは特定の「主要民族」（narod）に基づく国家ではなく、多民族共生を目指す共和国としての性格を有していました。

終焉とその後

1991年、モンテネグロでは初の自由選挙が実施され、モンテネグロ共産主義者同盟はモンテネグロ社会主義者民主党へと党名を変更しました。これに伴い、国名から「社会主義」の語が取り除かれ、1992年に「モンテネグロ共和国」として新たなスタートを切りました。この国名変更は、社会主義体制の終焉と、新たな政治体制への移行を象徴する出来事でした。

民族構成

以下に、モンテネグロ社会主義共和国時代の国勢調査に基づく民族構成の推移を示します。

1971年
モンテネグロ人: 355,632人 (67.15%)
ムスリム人: 70,236人 (13.26%)
セルビア人: 39,512人 (7.46%)
アルバニア人: 35,671人 (6.74%)
ユーゴスラビア人: 10,943人 (2.07%)
クロアチア人: 9,192人 (1.74%)
合計: 529,604人

1981年
モンテネグロ人: 400,488人 (68.54%)
ムスリム人: 78,080人 (13.36%)
アルバニア人: 37,735人 (6.46%)
ユーゴスラビア人: 31,243人 (5.35%)
セルビア人: 19,407人 (3.32%)
クロアチア人: 6,904人 (1.81%)
その他
合計: 584,310人

1991年
モンテネグロ人: 380,467人 (61.86%)
ムスリム人: 89,614人 (14.57%)
セルビア人: 57,453人 (9.34%)
アルバニア人: 40,415人 (6.57%)
ユーゴスラビア人: 26,159人 (4.25%)
クロアチア人: 6,244人 (1.02%)
その他
* 合計: 615,035人

これらのデータから、モンテネグロ社会主義共和国は、モンテネグロ人を主体としつつも、ムスリム人、セルビア人、アルバニア人など多様な民族が共存する社会であったことがわかります。また、時代が下るにつれて、民族構成に変化が見られることも特徴的です。

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