モーガン・ウォーレン

アメリカ、テネシー州スニードビル生まれ（1993年 5月13日）。現代カントリーミュージックシーンにおいて最も影響力のあるアーティストの一人として知られるシンガーソングライター。

音楽への目覚めとキャリア初期

幼少期から、父親の影響でクラシックロックに親しみ、ブレイキング・ベンジャミンやニッケルバック、リル・ウェインなど、多様なジャンルの音楽に触れて育つ。10代の頃は野球に打ち込み、投手兼遊撃手として活躍。大学への進学を目指すほどの実力だったが、高校3年時に右肘の負傷に見舞われ、野球選手の道を断念せざるを得なくなった。

野球から離れた彼は再び音楽へと傾倒し、特にキース・ウィットレイやエリック・チャーチといったカントリーアーティストに深く惹かれるようになる。2014年には、アッシャーが審査員を務めたリアリティ番組「ザ・ヴォイス」の第6シーズンに出演。惜しくも第2回戦で敗退したが、これを機に音楽業界での知名度を獲得する。

ナセア・レコードとの契約を経て、2015年に初のEP『Stand Alone』をリリース。その後、Big Loudと契約し、本格的なキャリアをスタートさせる。

デビューアルバムからブレイクへ

2018年4月、デビューアルバム『If I Know Me』を発表。当初はBillboard 200で72位に初登場したが、着実に順位を上げ、最高10位を記録するロングヒットとなった。アルバムからのシングルも成功を収め、特にフロリダ・ジョージア・ラインをフィーチャーした「Up Down」が注目を集め、サードシングルの「Whiskey Glasses」はBillboard Hot 100で17位、Hot Country Songsでは自身初の1位を獲得。続く「Chasin' You」もHot Country Songsで2位となるなど、その後の成功を予感させた。

歴史的ヒットと騒動

2021年1月には、2枚目のアルバムとなる『Dangerous: The Double Album』をリリース。初週約26万枚という驚異的な売上を記録し、Billboard 200で初登場1位を獲得。カントリーアルバムとして初めて、同チャートで7週連続の首位という偉業を達成し、その年の年間チャートでも1位に輝くなど、記録的な大ヒットとなった。クリス・ステイプルトンやベン・バージェスがゲスト参加している。

しかし、アルバムの成功の最中に、彼が人種差別的な言葉を含む不適切な発言をする様子を捉えた映像が公になり、大きな批判を浴びる。直ちに謝罪の声明を発表したが、いくつかのラジオ局での楽曲放送停止や、主要な音楽ストリーミングサービスのプレイリストからの削除、所属レーベルからの契約無期限停止、さらにはアカデミー・オブ・カントリーミュージック賞の対象外となるなど、業界からの厳しい対応を受けた。

この騒動は、彼の音楽の売上に特異な影響を与えた。騒動が報じられた直後の週には、アルバムの売上が102%増加。結果的に『Dangerous: The Double Album』はBillboard 200で通算7週間にわたって首位を維持し、『If I Know Me』も再びトップ10に浮上するという異例の現象を巻き起こした。ニューヨーク・タイムズ紙は、このアルバムを「異例のロングヒット」と評し、2021年で最も売れたアルバムとなっただけでなく、翌2022年にはBillboard 200における単独アーティストによるトップ10最長滞在週数記録を更新した。

さらなる高みへ

騒動後も精力的に活動を続け、2021年末にはラッパーのリル・ダークとのコラボレーションシングル「Broadway Girls」を発表し、Hot 100で14位にチャートイン。カントリーアーティストとしては珍しいラップとのクロスオーバーも成功させた。2022年にリリースしたシングル「You Proof」はHot 100で初のトップ5入りを果たし、続く「Thought You Should Know」もHot Country Songsで1位を獲得するなど、その人気は衰えることがなかった。

2023年3月には、3枚目のアルバム『One Thing at a Time』をリリース。このアルバムも初週約50万枚を売り上げ、Billboard 200で初登場1位に輝いた。その後、バッド・バニーの記録を破り、この10年間で最長となる16週間の首位獲得という驚異的な記録を樹立した。また、収録されている全36曲がBillboard Hot 100にチャートインするという歴史的な快挙を達成。これは2018年にドレイクが樹立した、一度にチャートインした最多楽曲数と、最も多く新規チャートインした楽曲数の両方の記録を塗り替えるものであった。さらに、Hot 100のトップ10のうち5曲を彼の楽曲が占めるという支配的な状況を生み出した。

アルバムからのシングル「Last Night」は、Hot 100で自身初の1位を獲得し、16週間にわたり首位を維持。ソロアーティストの楽曲としては史上最長の1位獲得記録となり、カントリーアーティストのソロ曲がHot 100で1位を獲得するのは、エディー・ラビット以来42年ぶりの出来事であった。このアルバムにはエリック・チャーチ、ハーディ、アーネストらがゲスト参加している。

2024年に入っても活動は続き、デビューEP『Stand Alone』の再録音版や、デビューシングル「Spin You Around」の再録音版をリリースしている。

私生活と近況

元交際相手との間に2020年に生まれた息子が一人いる。

2024年4月には、テネシー州ナッシュビルで発生した騒動により逮捕される出来事があった。警察によると、彼はエリック・チャーチが所有するバーの屋上から椅子を投げ、地上にいた警察官の近くに落下させた疑いが持たれており、その後保釈金を支払って釈放されている。

もう一度検索