モーゼス・イタウマ

モーゼス・イタウマ：新星ボクサーの軌跡

モーゼス・イタウマ（Moses Itauma）は、2004年12月28日にスロバキアのケジュマロクで生まれた英プロボクサーです。ナイジェリア人の父とスロバキア人の母の間に産まれた彼は、2歳のときに家族と共にロンドン南東部のケント州チャタムに移り住みました。人種差別を経験したことで、彼の人生は大きな影響を受けたと言われています。

幼少期とボクシングとの出会い

イタウマは9歳のときに、兄であるカロル・イタウマに連れられ、チャタムのジム「ラギド・スクール」でボクシングを始めました。兄は4歳年上でアマチュアとして成功した後、ライトヘビー級でプロデビューを果たしています。モーゼスは、このジムでトレーニングを通じて多くの経験を積みましたが、当時は過酷な環境の中で学校での喧嘩に関与することもありました。

ビッグネームとのスパーリング経験

モーゼスは15歳のとき、WBO世界クルーザー級チャンピオンのローレンス・オコリーとスパーリングを行いました。その後はジョー・ジョイスやダニエル・デュボア、アンソニー・ジョシュアといった名選手たちとも経験を積み、特にジョシュアからは多くを学んだと語っています。彼は、自身もナイジェリア系であることから、共通のバックグラウンドを持つジョシュアからの影響が大きかったようです。

アマチュア時代

イタウマのアマチュアキャリアは順調で、2022年11月の世界ユース選手権では金メダルを獲得し、ジュニアやヨーロッパユースでも優勝を果たしました。彼のアマチュア戦績は24戦無敗、11KO勝利という素晴らしい成績です。

プロボクシングに転向

モーゼスは2023年1月28日に、ウェンブリー・アリーナでプロデビューを果たし、初戦で24秒という短い時間でKO勝ちを収めました。その後も、順調に勝ち進み、2023年にはマーセル・ボード、ラモン・アルベルト・イバラ、コスティアンティン・ドブビシチェンコなどと対戦し、全ての試合をKOまたは判定で勝利しています。

表彰と偉業

彼の活躍は続き、2023年10月にはタイソン・フューリーとフランシス・ガヌーの試合の前座でヘビー級での試合を行い、TKO勝利を収めました。さらに2024年5月には、タイソン・フューリー対オレクサンドル・ウシクの前座でWBOインターコンチネンタルヘビー級王座決定戦を行い勝利を収め、以降も数回王座防衛を成功させています。

人物像とスタイル

モーゼスは幼少期からナジーム・ハメドのスタイルに強い影響を受けており、彼のボクシングスタイルにもその要素が見られます。記録を更新することを目指し、マイク・タイソンが持つ最年少ヘビー級王座獲得の記録突破を心に抱いています。また、過酷なトレーニングと自身に課した制約から、自身の行動に振り返ることもありますが、決して非行には走らなかったと述べています。

戦績とタイトル

モーゼス・イタウマは、アマチュアとプロ合わせて無敗の成績を収めており、WBOインターコンチネンタルヘビー級王座、WBAインターナショナルヘビー級王座、コモンウェルスヘビー級シルバー王座を獲得しています。これからのさらなる成長と活躍が期待される若きボクサーです。

もう一度検索