ナジーム・ハメド

ナジーム・ハメド（Naseem Hamed）

ナジーム・ハメド（1974年2月12日生まれ）は、イギリス出身の元プロボクサーで、特にフェザー級での活躍が顕著です。彼はシェフィールドで、イエメン人の両親のもとに生まれ、印象に残るファイトスタイルと派手な入場パフォーマンスで知られています。アラビア語で「悪魔王子」とも称されるハメドは、プリンス・プロモーションズを主催するプロモーターでもありました。

初期の経歴

幼少期からボクシングに興味を持ち、ブレンダン・イングルのウィンコーバンクジムでトレーニングを始めました。アマチュアボクシングを経て、1992年にプロデビューを果たし、その後急速に頭角を現しました。1994年にはEBU欧州バンタム級王座を獲得し、階級を上げ続けました。

ハメドは1995年にWBO世界フェザー級王座を獲得し、1997年にはIBF王座も手に入れました。彼は次々とタイトルを獲得し、最終的にWBC世界フェザー級王座をも獲得し、実質的に4団体の王座を統一することに成功しました。

ボクシングスタイル

ハメドのボクシングスタイルは非常にユニークで、一般的なリードブローを使わずに腕をだらりと下げ、ガードをしないことでも知られています。彼は独特のカウンターパンチを駆使して相手を翻弄し、しばしば相手のパンチを避けながら攻撃します。その動体視力と反射神経は突出しており、バックを取ることや深いダッキングにも秀でています。彼のパンチはパワフルで、特にスウェーバックしながら放つカウンターが威力を発揮しました。

更に、ハメドのサンデーパンチとも称されるオリジナルブローは、猫科の獣が獲物に飛びかかる動きに似ており、得意とする彼のファイトスタイルの一部となっています。しかし、このスタイルはリスクも伴い、過去には大振りな攻撃を受けて苦しむ場面も見られました。

競技人生の波乱

彼のプロボクシングキャリアは波乱に満ちています。2001年4月にはマルコ・アントニオ・バレラとの試合で初めての敗北を喫し、その後の試合も多くの困難に直面しました。特に、2001年のアメリカ同時多発テロ事件以降、彼はイメージの悪化に苦しみ、試合が中止となったこともありました。

さらに、2005年には交通事故を起こし、禁固刑に処されるなど、人生の転機を迎えました。服役中も練習を行わず、出所後には体重の増加に悩むことになりました。

引退とその後

2002年にはIBO世界フェザー級王座を獲得し、復帰を果たしましたが、その後は試合から距離を置くようになりました。彼は2014年に国際ボクシング名誉の殿堂に選出され、その功績が評価されています。

ハメドの独特なスタイルや個性は、後のボクサーたちにも影響を与え、特に須藤元気や山本“KID”徳郁などの選手は彼からインスパイアを受けています。

エピソード

ハメドはイスラム教徒として信仰が深く、リング上ではいつも祈りを捧げる姿が見られました。また、元ヘビー級チャンピオンのモハメド・アリを尊敬しており、スタイルにおいて多くの影響を受けたと語っています。そんな彼のボクシングスタイルは、全く従来の枠に縛られないものであり、そのユニークさが今でも語り継がれています。

戦績

アマチュアボクシングでは67戦中62勝を収め、プロでは36戦35勝（そのうち31KO）という好成績を残しました。ハメドが獲得したタイトルには、EBU欧州バンタム級王座、WBCインターナショナルスーパー[[バンタム級]]王座、IBO、WBO、IBF、WBCの各世界王座が含まれます。

ナジーム・ハメドは、ただのボクサーではなく、ファンや競技者に影響を与えた特別な存在であり、その個性的なスタイルは今でも多くの人々に記憶されています。

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