モーターカノン

モーターカノン

概要

モーターカノンとは、航空用レシプロエンジンを搭載した単発戦闘機において、航空機関砲や機関銃を効率的に装備するための方式を指します。この方式では、エンジン内部に中空のプロペラシャフトを通し、その中から砲弾を前方へ発射します。フランス語の“モーターカノン”は「エンジン砲」を意味し、他言語でも同様の呼称が存在します。特に第一次世界大戦後の1920年代から30年代にかけて、航空機の武装強化が求められる中で、この技術が発展しました。

当時、航空戦が進化する中で、機体の強度やエンジン性能が不足しており、多くの機関砲を搭載することが実現できていませんでした。特に大口径の機関砲が求められるようになった背景には、金属製の機体が普及し始めたことがありましたが、機体の運動性能への悪影響や命中精度が問題視されていました。フランスのイスパノ・スイザ社は、エンジン内のシリンダーの合間に20mmの機関砲を配置することで、この問題を克服したのです。

モーターカノンの発展

モーターカノンの初期の使用例としては、第一次世界大戦中のフランスの複葉機S.XIIに搭載された37mm砲の形態があります。この成功を受け、モーターカノンはその後の軍用機にも広まりました。ドイツ空軍もこの技術に目をつけましたが、トラブルが多かったため、最終的には小口径の機銃を主に使用することとなり、摩擦を引き起こす要因となっていました。

アメリカのベルP-39やP-63もプロペラの中心から発砲する機関砲を採用しましたが、エンジンが機体後部に配置されていたことから、モーターカノンとは見なされませんでした。モーターカノンの一つの特徴は、水冷エンジン機においてのみ成り立つ構造であるため、全てのタイプの航空機では利用できないことです。

問題点

モーターカノン方式にはいくつかの技術的問題も伴います。特に、エンジン軸と一致した射線の確保が難しく、効率的な射撃が困難になることがあります。これにより、発射された弾丸が期待通りの精度で命中しづらくなるため、命中精度の低下を引き起こす要因となります。また、エンジン振動による機関砲の作動不良の可能性も存在します。

各国の機関砲の使用例

フランスでは、イスパノ・スイザHS.7/9機関砲が最初のモーターカノンとして知られ、第二次世界大戦ではモラーヌ・ソルニエ戦闘機に搭載されました。ドイツ空軍では、MG17やMG-FFがモーターカノンとして用いられましたが、信頼性に問題がありました。一方、ソビエトではShVAK機関砲などが搭載され、信頼性向上に寄与しました。

モーターカノンは大戦中に独特の位置を占め、多くの国でさまざまな機関砲がこの技術を用いて搭載されましたが、特定の国の航空機のみがその技術を有効に活用することができました。この技術は戦争の進行と共に進化し、各国の航空機に影響を与え続けました。

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