モーターカー

モーターカーとは

モーターカー、あるいはモータカーとは、主に鉄道の保守作業に使用される小型の自走動力車両の一種です。特に日本では法的に車両とは認識されておらず、「機械」というカテゴライズにされています。一方、アメリカでは人員運搬用のモーターカーを「スピーダー」と呼んでいます。

日本におけるモーターカーの歴史

日本でモーターカーが初めて使用されたのは1919年ごろで、当時の鉄道省がアメリカ・ブダ社製の8馬力のモデルを甲府保線事務所で導入しました。国産車両の開発は1924年に始まり、タカタモーター企業社や加藤製作所などが製作に関与し、ハーレーダビッドソン製のガソリンエンジンを使用していました。1930年代には純国産化が実現され、加藤製作所などではフリクションドライブや焼玉エンジンを取り入れた車両が生まれました。鉄道連隊もこの車両を所有するようになり、普及が進みました。

モーターカーの用途

モーターカーは資材運搬や人員輸送、保守作業、点検に利用されます。作業時には小型の貨車（トロッコ）を牽引することも可能で、最近ではリモート操作ができる車両も登場しています。カラーリングは通常黄色ですが、JR東海の濃淡ブルーや近畿日本[[鉄道]]の薄緑色など、さまざまな塗装が見られます。初期はガソリンエンジンが主流でしたが、近年ではディーゼルエンジンが一般的で、油圧ポンプを駆動する機能をもつ車両も存在します。また、車両によっては中央に自車昇降用の油圧式ジャッキが取り付けられており、これにより簡単に方向転換ができるようになっています。

モーターカーの取り扱いと法的地位

、日本ではモーターカーは法的に「鉄道車両」ではなく、線路上を自走する保線用機械として扱われます。このため、運転に特別な資格は不要で、免許不保持者であっても操縦が可能です。ただし、最高速度は45km/hに制限されており、本線を走行する際は線路を閉鎖する必要があります。その際、運転指令所との緊密な連絡が求められます。実際には、2019年に南海高野線で保線作業用モーターカーの不具合による踏切事故が発生したこともあります。

モーターカーは一般的な貨車移動機と混同されることがあるものの、後者は貨物の入れ替え専用の動力車である点が異なります。主要なメーカーには北陸重機工業や松山重車輌工業、新潟トランシスなどがあります。

モーターカーの分類

かつては多数のモーターカーが使用され、作業用、貨物型、兼用などに分類されていましたが、近年は除雪用や大型以外のモーターカーが減少しつつあります。特に大型モーターカーは、他の車両を牽引することを重視した設計がなされ、連結器も一般的な鉄道車両との接続が可能なものが導入された例があります。特にユニークなのはTMC100系列で、1956年に試作車が製造された後、様々な細分化された型式が生まれました。一方で、TMC500は小型機関車のような外観を持ち、急勾配線区用として開発された車両です。

除雪用モーターカー

特に積雪地域では、排雪作業用としてモーターカーが活用されています。正確には軌道モーターカーラッセルや軌道モーターカーロータリーという名称が付けられ、除雪機能を備えたものが多様なデザインで存在しています。特にJR北海道のHTR600形などは、厳冬期に活躍する重要な車両となっています。

まとめ

モーターカーは鉄道の保守作業に欠かせない特殊な車両であり、法的に「機械」として扱われることから、操縦が比較的簡易である点が特徴です。今後も技術の進化に伴い、新たな特性や機能を持ったモーターカーが登場することが期待されます。

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