保線

保線（ほせん）

保線とは、鉄道や軌道の線路に関する保守作業を指します。重量のある列車が頻繁に通行することで、レールの摩耗や軌道の変位が避けられません。このまま放置することは乗り心地や走行の安定性を損ない、最終的には脱線を引き起こす可能性があるため、定期的な保守が求められます。これによって、安全な運行を確保することが重要です。保線作業には、専用の資材や車両を管理するための「保線基地」や「保守基地」が必要です。

作業プロセス

保線作業においては、まず、試験車を使って線路の測定を行ったり、実際に線路上を歩いて点検を行ったりします。これにより、修繕が必要な場所を特定し、適切な修理計画を立てます。その後、必要な材料を購入し、運搬して修繕作業に取り掛かります。

主な保線作業の内容には以下のようなものがあります：

• - 軌道の変位修正（軌間・通り・高低・水準・平面性の修正）
• - レールの交換
• - バラスト（砂利）の入れ替え
• - 踏切の修繕
• - 枕木の交換
• - 犬釘・ボルト・絶縁材などの交換

さらに、保線作業の範囲は線路自体にとどまらず、信号設備や架線なども含まれる広義のもので、トンネルや橋の保守も行います。

機械化と効率化

保線作業は重労働が多いですが、近年は機械化が進んでいて、効率的な作業が可能になっています。例えば、軌道の高低を調整する「むら直し」では、かつてはビーターを使用して手作業で調整していました。しかし、今では電動式のタイタンパーを使用し、作業が迅速に行えるようになりました。また、広い工事区間では、大型重機にタイタンパーを取り付けた特殊車両も活用されます。

保線作業を行う際には、線路の閉鎖手続きを行う必要があり、輸送指令に報告する責任者も求められます。時には、列車を運行しつつ作業を実施することもあり、その場合には列車見張員を配置して安全を確保します。

安全対策

作業エリアに列車が接近する際、見張員は特定の合図を用いて作業員に待避を指示します。作業員は、工具などが線路に残っていないか確認し、安全地帯に避難します。この時、見張員は笛や旗を使った合図を行います。待避が完了してから、作業再開の合図が出されるまでのプロセスが厳格に定められています。

定期的な保線作業

大規模な作業では、しばしば深夜や早朝に実施されますが、昼間に行う場合もあります。これには、公共交通機関の振替輸送などの対策が考慮されます。例えば、JR西日本では「保線運休」として、日中に運休を伴う保線作業が行われます。

過去には、不十分な保線作業が原因で事故が発生することもありました。2013年に発生した北海道の貨物列車脱線事故は、現場の軌道が不適切に保たれていたことが大きな要因となりました。

機器とメーカー

保線作業で使用される機器には、例えば以下のものがあります：

• - タイタンパ（RAILMAN® 短絡防止内蔵モデルなど）
• - マルチプルタイタンパー
• - 軌陸車
• - バラスト運搬トロッコ

日本国内外には、保線機器を製造する専門メーカーが存在し、技術の向上と共に新たな機器も登場しています。

関連法規

保線作業は、鉄道営業法や鉄道事業法など、さまざまな法規に基づいて行われており、これにより安全が保証されています。技術基準や作業手順が定められ、それに従うことが求められるのです。

保線は、鉄道の安全運行を支えるために欠かせない重要な活動であり、今後もさらなる技術革新と効率化が期待されています。

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