モーターヘッド (ファイブスター物語)

ファイブスター物語におけるモーターヘッド：究極の戦闘兵器

モーターヘッド (Mortar Headd, 略称MH) は、漫画『ファイブスター物語』に登場する人型ロボット兵器です。かつてジョーカー星団における最強の戦闘兵器として君臨し、その圧倒的な戦闘力から、一部の例外を除き、作品世界では「ロボット」として分類されるほどでした。

2013年以降の連載では、作中の[ロボット]]兵器は全て[[ゴティックメード]に差し替えられましたが、MHの設定は「黒騎士」の名称やフレームタイプなど、一部にGTMに流用されています。

概要：規格外の性能と知能

MHの平均的なサイズは肩高約15メートル、出力は2兆馬力にも及びます。「イレーザーエンジン」と呼ばれる、光をエネルギーに変換する外燃機関を動力源とし、ファンクション・タービンにより、アイドリング状態や基本動作では半永久的に稼働可能です。しかし、戦闘や瞬間移動などの高負荷な動作には対応できず、エネルギー切れを起こす可能性があります。

特筆すべきは、MHに備わった経験学習能力と幼児程度の知能です。建造時にプログラムされた基本行動パターンに加え、戦闘経験を蓄積することで戦闘能力を高めていきます。経験のないMHは「ヴァージン」と呼ばれます。しかし、レッド・ミラージュのように、破壊本能をプログラムされた例外的なMHも存在し、騎士とファティマは暴走の抑止に重要な役割を果たします。

MHの設計・製造は、「モーターヘッド・マイト」と呼ばれる特別な能力を持つ人間にのみ許されています。開発には数十年単位の歳月と、複数のマイト、ファティマ・マイトの協働が必要となるケースもあります。また、組立てや整備には高度な技術を持つ専門の技師「マイスター」が不可欠です。

MHの名称は、「迫撃砲」を意味するMortarと、「神」を意味するHeaddを組み合わせたものと言われています。「電気騎士」と呼ばれることもあります。

武装と戦闘能力：圧倒的な力と弱点

MHの主兵装は刀剣、槍、棍、斧などの近接戦闘用武器です。その圧倒的な攻撃力、防御力、機動力は、他の兵器を寄せ付けません。副兵装としてレーザーやミサイルなども装備しますが、MH同士の戦闘では主に牽制、またはMH以外の敵への攻撃に使用されます。対MH戦用の切り札として「バスター・ランチャー」を装備するMHも存在します。

活動範囲は地上、空中、水中、宇宙と多岐に渡りますが、戦術上の理由から戦闘の大部分は地上で行われます。光速移動（テレポート）も可能ですが、多大なエネルギーを消費します。

MHは騎士の動作をトレースするため、騎士の反応速度がMHの機動性に直結します。優れた騎士が操縦することで、MHは通常兵器の攻撃を容易に回避、もしくは無力化します。しかし、重力下での転倒や、首部の脆弱性といった弱点も持ち合わせています。

操縦システム：騎士とファティマの連携

MHの操縦には、「騎士」と呼ばれる超人的な身体能力を持つ者と、「ファティマ」と呼ばれる高度な情報処理能力を持つ人造人間によるツーマンオペレーションが必須です。騎士はMHのコクピット（胸部）で全身を用いて操縦し、ファティマは頭部のコクピットで情報処理や支援を行います。

フレームとバリエーション：多様な設計と特殊用途

MHの構造は、竜骨と呼ばれるメインフレームに動力ピストンやインナーフレーム、装甲が重層的に構成されています。装甲や装備は状況に応じて変更可能で、同一のMHでも異なる姿で現れる場合があります。

メインフレームはいくつかの形式に分類され、主にネコ科動物の名前が付けられています（ライオン、チーター、ティーガー、ボーン、スミロ、スパイラルなど）。また、駆逐型、回収型など、特殊な用途に特化したMHも存在します。

ミラージュ・マシン：天照の特殊部隊

天照・ディス・グランド・グリース・エイダス・フォースが開発した「ミラージュ・マシン」は、通常のMHとは異なり、各型ごとに特殊な用途に特化した設計がなされています。レッド・ミラージュ、L.E.D.ミラージュ、ヤクト・ミラージュなどがその代表例です。

戦争とMH：圧倒的な力と戦争代理人

ジョーカー星団での戦争は、MHと騎士によって代理戦争として行われます。MHは通常兵器をはるかに凌駕する戦闘力を持つため、MH同士の戦闘が戦争の勝敗を左右します。MHの配備数と騎士の能力が戦局を大きく左右します。

その他のMH：多様な勢力と個性

エンゲージシリーズ（コーラス王朝）、サイレン（フィルモア帝国）、A・トール（ハスハ連合共和国）、バング（クバルカン法国）など、各勢力が独自に開発・運用するMHは多岐に渡り、それぞれに特徴的なデザインと性能を誇ります。

デザインと模型：エルガイムからの影響と模型文化

MHのデザインは、永野護がデザインしたアニメ『重戦機エルガイム』の影響を受けている部分があります。しかし、『エルガイム』のデザインを基にしているとはいえ、劇中に登場しなかったものも多く、独自の解釈とアレンジが加えられています。

MHの模型は、ガレージキットが主流です。これは連載当時、ガレージキットが盛んだったことと、永野護の意向によるものです。各模型メーカーが、レッド・ミラージュなど様々なMHのガレージキット、プラモデルを発売しています。

まとめ：伝説と未来

MHは、その圧倒的な戦闘力と、高度な技術によって生み出された伝説的な兵器です。その歴史、デザイン、模型文化は、多くのファンを魅了し続けています。GTMへの移行後も、MHのデザインは高い人気を誇り、現在でも新商品の開発が続けられています。

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