モーターレンチ

モーターレンチとは

モーターレンチ（motor wrench）は、レンチの一種であり、別名ではイギリスレンチ（English key）とも呼ばれます。アジャスタブルレンチの原点とも言える工具で、その特徴的な構造から、様々な用途で利用されています。

モーターレンチの構造と特徴

モーターレンチは、モンキーレンチとは異なり、挟み部（あご）がハンドルに対して平行に動く構造をしています。このため、モンキーレンチよりも大きな口径の対象物に対応できるという利点があります。初期のモーターレンチは、工業用工具として広く使用されていました。一般的なサイズには、230mmと280mmがあり、本体は鍛造品で高い強度を持っています。

モーターレンチの進化

かつては、日本で初めてエンジニアリングプラスチック製のモーターレンチ（トップ工業製）も存在しましたが、現在は販売されていません。

近年では、配管工事、特に水道、風呂、トイレなどの衛生器具の配管時に使用されることが多くなっています。これらの配管は、パッキンによって気密性を保つ構造のため、大きなトルクを必要としないものの、ナットのサイズが大きいという特徴があります。

メッキ仕上げの衛生器具専用のモーターレンチとして、アルミ製でメッキを傷つけにくい製品が開発されました。最初にこの製品を商品化したのは北陽産業株式会社（販売：株式会社サンキー）でしたが、2002年に倒産し、現在はMCC（松阪鉄工所）がアルミ製モーターレンチを販売しています。ただし、アルミ製は鋼製に比べて強度が劣ります。

1996年には、トップ工業が「アルミ製たて型モーターレンチ」（トラップレンチ）を発売しました。これは、ハンドルをモンキーレンチと同じ方向にし、アルミ製で軽量化、全長を短くすることで、狭い場所での使いやすさと締め付けトルクを向上させた製品です。現在では、このタイプが衛生器具配管用の主流となっています。

鋼製のモーターレンチも進化しており、MCC（松阪鉄工所）がハンドルに窓抜きを施して軽量化を図り、他のメーカー（TOP、SUPERTOOLなど）も同様の改良を行っています。操作方法はモンキーレンチと同様で、荷重を加える方向と、ウォームの調整により隙間なくナットに取り付ける必要があります。

壁付き蛇口の取り外しには、専用の水栓レンチが使用されます。これは、金属製の棒を曲げた形状で、蛇口を傷つけないようにゴムで覆われた工具です。

主なメーカー

[トップ工業]
松阪鉄工所(MCC)
[ロブテックス]
[スーパーツール]

注意点

モーターレンチを使用する際は、以下の点に注意する必要があります。

荷重をかける方向を間違えないようにする
ウォームを調整して、ナットに隙間なく取り付ける

まとめ

モーターレンチは、その独特な構造と進化により、幅広い用途で活躍する工具です。特に配管工事においては欠かせない存在となっています。メーカーによって特徴が異なるため、用途に合わせて適切なものを選ぶことが重要です。

参考資料

技能士の友編集部『作業工具のツカイカタ』株式会社大河出版

関連項目

モンキーレンチ
工具
工具メーカーの一覧

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