モーダカ

モーダカ：神々も愛した、アジアの伝統菓子

モーダカは、インドを中心に東南アジア諸国で親しまれる伝統的な菓子です。地域によって様々な呼び名を持ち、作り方や材料も多様性に富んでいます。インド西岸や南岸では、米粉や小麦粉で作った生地に、ココナッツやパームシュガーを混ぜた餡を包み、宝珠型に成形して作られます。蒸し器で蒸すか、油で揚げて調理されます。蒸したものは「ウクディチェ・モーダカ」と呼ばれ、熱々のギー（精製バター）をかけていただくこともあります。

近年では、材料のバリエーションも広がりを見せています。皮にはシコクビエ粉が加えられ、餡にはバナナやチョコレートなどの新しいフレーバーも登場しています。伝統的な製法を守りつつ、現代的なアレンジも取り入れられた、進化し続けるお菓子と言えるでしょう。

宗教と深く結びついたお菓子

モーダカは、ヒンドゥー教の神、ガネーシャ神の好物として知られています。ガネーシャ神は、モーダカを大量に食べる姿で描かれることが多く、その縁から「モーダカプリヤ」（モーダカを愛する者）という別名も持っています。

ガネーシャ神の祭礼であるガネーシュ・チャトゥルティーでは、プージャー（供養）の儀式に欠かせない供物として、必ず21個のモーダカが供えられます。そして、儀式の後には信者にも聖餐（プラサド）としてモーダカが振る舞われます。神前に供えるモーダカには、米粉を使ったものがふさわしいとされていますが、小麦粉を使ったものも用いられることがあります。

日本との意外なつながり

興味深いことに、モーダカは日本にもその影響を与えています。カルダモンの代わりにシナモンを使ったモーダカが、仏教とともに中国を経由して日本に伝来し、「清浄歓喜団」という唐菓子になったと言われています。現在でも、日本の仏教寺院において、歓喜天への供物として清浄歓喜団が用いられることがあります。これは、インドにおけるモーダカとガネーシャ神信仰との結びつきを反映したものです。

モーダカ：多様な姿と変わらない魅力

このように、モーダカは地域差や時代による変化を繰り返しながらも、人々の生活や信仰に深く根付いたお菓子です。その独特の形状、甘く香ばしい風味、そして宗教的な背景など、モーダカは単なるお菓子という枠を超え、文化や歴史を語る上で重要な存在となっています。一口食べれば、インドの豊かな文化と歴史、そして遠い異国の地との繋がりを感じることができるでしょう。

まとめ

この記事では、インドや東南アジアで親しまれる伝統菓子「モーダカ」について、その歴史、作り方、宗教との関わり、そして日本との意外なつながりまでを解説しました。材料や作り方のバリエーション、宗教儀式との深い結びつき、そして日本における唐菓子との意外な関連性など、モーダカの魅力は多岐に渡ります。これからも、多くの人々に愛され、その歴史と文化を伝えていくお菓子であり続けることでしょう。

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