モービル1

モービル1（Mobil 1）

モービル1は、エクソンモービルが販売する高性能の化学合成エンジンオイルです。1977年に発売されて以来、特に過酷な環境下での性能が評価され、世界中の自動車愛好者やプロドライバーに選ばれています。極寒の条件下でもその特性を発揮することから、軍用機のベアリングを保護するために開発されたのがその起源です。

特徴と沿革

モービル1は、長年にわたって多くの自動車の性能を支えてきました。1977年から放送された「マイナス40度の世界では、バナナで釘が打てます。」という印象的なテレビCMはその名を広げ、多くのファンを獲得しました。このオイルは、1974年の一般発売時から高性能を売りにしており、スーパーシンテティックオイルとしてその名を不動のものにしました。現在、モービル1は多様なエンジンオプションに対応した粘度のラインアップを誇っています。主な製品には以下のものがあります。

• - 5W-50 RF（ラリーフォーミュラ）
• - 0W-40 RP（レースプルーブン）
• - 5W-40 DE（ドライビングエクセレンス）
• - 15W-50 TURBO
• - 0W-20 EC（エコクルーズ）
• - 0W-30 NA（ナチュラルアスピレーション）
• - 5W-30 FP（ファインパフォーマンス）
• - 10W-30 RM（ロードマスター）

これらは主に四輪車向けのガソリンおよびディーゼルエンジン用オイルです。過去には二輪車向けの製品もありましたが、現在は廃止されています。

技術と成分

モービル1は、高い油膜強度を維持するために優れた配合技術を採用しています。かつては100%化学合成油としての特性を強調していましたが、現在は水素化分解油も配合されており、APIのグループIIIに分類されます。この技術によって、エンジンの摩耗を軽減し、燃費向上に寄与しています。

例えば、モービル1の一部製品はPAO（ポリアルファオレフィン）を含み、これにより優れた耐熱性や酸化安定性を実現しています。しかし、最近ではコストの観点から、商業的な要請に応じて基油の組成が見直されています。そのため、今やPAOの比率は以前よりも低くなっていますが、引き続き高性能の合成油として市場に留まっています。

国内市場の変遷

日本市場においては、2011年以降、モービル1はアメリカから輸入されるようになりました。それと同時に、製品の規格もSN規格に移行し、ユーザーに対して一貫した品質と分かりやすい商品説明が提供されるようになりました。日本での販売はエクソンモービルジャパン合同会社によるもので、ENEOSサービスステーションでも取り扱われています。

モータースポーツとの関わり

モービル1はモータースポーツの世界でも幅広く使われており、特にF1では、イギリスの研究所で特別に調整されたオイルが使用されています。市販品とは異なる特性を持つこのオイルは、レーシングカーが求める性能を満たすために開発されています。また、一般向けにはホンダのスーパーGTや日産GT-Rなどのモデルに指定オイルとして採用されています。

結論

モービル1は、その優れた配合技術、高い性能、信頼性により、世界中のドライバーに支持されています。過去数十年にわたり、数々の技術革新を経ながらもその品質は保たれ続けており、今後も多くの車両で愛用されていくことでしょう。モービル1は、単なるエンジンオイルにとどまらず、多くの人々に愛されるブランドとしての地位を確立しています。

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