モービー

モービー（Moby）

モービーは1965年にアメリカのコネチカット州で生まれたミュージシャンです。音楽分野において、作詞・作曲・演奏・編集すべてを自身で行い、長いキャリアを積んできました。彼のアルバムは累計で約2000万枚のセールスを記録しており、その実力は広く認められています。

彼は「Voodoo Child」としても知られ、ブリトニー・スピアーズに楽曲を提供するなど多方面で活躍しています。また、ニューヨークにはカフェ「Teany」やグッズショップ「The Little Idiot」の運営も手掛けています。モービーは厳格な菜食主義者であり、特にレイブ音楽に関わるアーティストには珍しくドラッグを一切摂取しないことで知られています。好きな映画監督には北野武を挙げ、写真を撮ったり執筆活動にも力を入れています。さらに、チャリティー活動にも積極的に参加しており、幅広い活動を展開しています。

モービーの名前は、彼の曽おじである作家ハーマン・メルヴィルの名作『白鯨』に由来しています。実際にはメルヴィル家の直系ではなく、米国のガスライトシステムを開発したデイビッド・メルヴィルの遠縁とされています。

音楽キャリア

1982年、モービーはハードコア・パンクバンド『Vatican Commandos』で音楽活動をスタートし、ギターを担当しました。その後、ポストパンクバンド『AWOL』やノイズバンド『Shopwell』への参加を経て、彼の音楽は徐々に進化してゆきます。特にテクノ、ハウス、ハードコア、ビッグビートなど、ジャンルに縛られない作品を発表してきたことが特徴です。

1990年代初頭にはDJ活動にも乗り出し、Angelo Badalamentiの『ツイン・ピークス』のテーマをサンプリングした曲『GO』がレイブの代表作として大ヒット。これにより、彼は世界的なダンス・アクトとしての地位を確立しました。その後、ブルースをサンプリングしたアルバム『Play』は、一般の音楽チャートでのヒットを記録し、全世界で1000万枚以上を売り上げるモンスター・ヒットとなりました。特に「Porcelain」は、映画『ザ・ビーチ』のメインテーマにもなり、彼の音楽が多くの人々に親しまれるようになりました。

信仰と思想

モービーは自身を「クリスチャン」と定義していますが、この言葉の持つ曖昧さから時折否定的に捉えています。それでも、彼はクリスチャンであると公言し、自身の信仰について語ることもあります。2003年にBBCのインタビューで、彼はキリストの教えに触発され、神聖さに気づいたと述べました。「キリストとその教えを愛している」と彼は語り、その愛は純粋で主観的なものであり、他の信条を批判したくはないとしています。

彼はまた、2006年のインタビューで新約聖書に触れ、人間が理解できる限界について考えることを語りました。「私たちは賢さに欠けている」との思いを持つ一方で、自身の信念を一切の押し付けにしない態度を貫いています。

モービーは音楽だけでなく、彼の信条や思想を通じて世界にメッセージを届けるアーティストでもあります。彼の活動や言葉は、多くの人々に影響を与えており、音楽シーンの中で独自の立ち位置を確立しているのです。

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