モーリス・サルファティ

モーリス・サルファティは、1931年6月24日に生まれ、2013年11月14日に亡くなったフランスの俳優、声優です。彼は、その独特な声質と演技力で、数多くの映画やテレビドラマ、アニメーション作品に出演しました。

サルファティは、1951年に19歳で演劇界にデビューし、『神が彼に言った!』という作品でそのキャリアをスタートさせました。その後、1953年には映画界にも進出し、『秘密の母性』で映画デビューを果たしました。この作品での彼の演技は、観客と批評家双方から高い評価を受け、その後の活躍への足がかりとなりました。

1970年代に入ると、サルファティは外国映画のフランス語吹替え版の声優として、その才能を大きく開花させました。特に、ロバート・デ・ニーロの吹替えを数多く担当し、『タクシードライバー』のトラヴィス役や『レイジング・ブル』のジェイク・ラモッタ役など、彼の代表作として知られる作品でその声を聞くことができます。彼の声は、デ・ニーロの複雑で繊細な演技を、フランス語で余すところなく表現し、多くの観客を魅了しました。1980年代には、テレビ映画を中心に活動しました。

1990年代には、日本の人気アニメ『シティーハンター』のフランス語版『ニッキー・ラルソン』で、悪役の声を担当しました。彼は、この作品で様々な悪役を演じ分け、その演技力の高さを改めて示しました。

サルファティは、2010年にはジャン＝リュック・ゴダール監督の映画『ゴダール・ソシアリスム』に出演し、そのキャリアの晩年においても、その才能を発揮しました。この作品では、彼の独特の存在感が、ゴダール監督の実験的な映像表現と見事に調和し、映画に深みを与えています。

彼の主な出演作品には、以下のようなものがあります。

『秘密の母性』（1953年）
『洪水の前』（1954年）
『われら巴里ッ子』（1954年）
『ノートルダムのせむし男』（1956年）
『河は呼んでいる』（1958年）
『殺人鬼に罠をかけろ』（1958年）
『旅』（1959年）
『名誉と栄光のためでなく』（1966年）
『華麗なる盗みのテクニック・女怪盗は美女』（1968年）
『シラノ・ド・ベルジュラック』（1990年）
* 『ゴダール・ソシアリスム』（2010年）

サルファティは、生涯にわたり、映画、テレビドラマ、アニメーション、そして舞台と、様々な分野で活躍し、フランスのエンターテイメント業界に大きな足跡を残しました。彼の声と演技は、今後も多くの人々に愛され続けるでしょう。

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