モ式小銃

モ式小銃の概要

モ式小銃（モしきしょうじゅう）とは、日本陸軍が昭和13年（1938年）にドイツから輸入したボルトアクション式の小銃を指します。この小銃は、戦間期の日本における武器調達の一環として、大規模に購入されました。また、中国大陸では日本軍が鹵獲したり現地で製造されたモーゼル式小銃もモ式小銃と呼ばれることがありました。

購入の背景

昭和12年（1937年）に締結された日独伊防共協定がきっかけとなり、昭和13年にドイツから約50,000挺の小銃が輸入されました。この際に「モ式小銃」と命名され、昭和14年（1939年）には準制式化がなされました。「モ」の一文字が象徴するのはモーゼルのことです。日中戦争の勃発によって小銃の需要が急増したこと、さらには新しい同盟国との関係強化が、これらの購入に繋がりました。

輸入されたモ式小銃には、いくつかのバリエーションが存在します。歩兵用のI型（モーゼル・スタンダードM1924）、騎兵用のII型（Kar98k）、さらには両方に対応したIII型（チェコスロバキア製のvz.24）などがあります。これらの銃は1939年の初夏には、開発中のなので試製九九式小銃との比較審査も行われ、適性が確認されたため、同年の10月にはそれぞれの型名で正式に準制式化が行われました。

鹵獲されたモ式小銃

日本軍が鹵獲したモーゼル式小銃は、主に日中戦争や満洲事変の際に入手されたもので、これらは戦場での重要な兵器として利用されました。これらの小銃には、日本国内で生産されていた弾薬とは異なる種類が多かったものの、弾薬補給については特に心配がいりませんでした。

中国軍においては、主力とされる小銃の中に、6.5mmや7.92mm口径のモーゼル式が多く含まれており、特にドイツから直輸入された小銃やライセンス生産が行われていました。モーゼル・スタンダードM1924が中心とされ、中国では「中正式歩槍」として中華民国軍の主力兵器となる運命をたどります。

満洲での生産

日本は大陸での戦局において、満洲にて技術指導を行いながらモ式小銃を生産しました。奉天工廠では東京造兵工廠が指導役となり、約40,000挺の中正式歩槍が製造されています。これに加え、ドイツからの輸入品であるモ式小銃も利用されました。しかし、さまざまな種類の弾薬を使用する小銃が存在したため、日本陸軍では基本的にはこれらの小銃は使用されず、満洲国軍に譲渡されることとなります。

シャム・モーゼル

日本国内では、シャム王国（現在のタイ王国）向けのモーゼル式小銃が生産されており、特に小倉工廠ではGew98のコピーである46式小銃が製造されていました。この銃は1903年から1908年にかけてシャムに輸出され、現地軍の装備として使用されました。46式小銃は8mm×50R弾を使用し、その後新たに66式小銃が採用されることになります。

これらのシャム向けのモーゼル式小銃は、サイミーズ・モーゼルとも呼ばれ、輸出用の武器としての役割も果たしていました。

まとめ

モ式小銃は、日本陸軍が外交や戦略に基づいて選択した武器の一つであり、戦局の中で多様性に富んだ運用がなされました。輸入されたものだけでなく、鹵獲や現地生産も含め、さまざまな経緯を持つこの武器は、当時の戦争において重要な位置を占めていました。

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