ヤオ族 (アフリカ)

ヤオ族：東アフリカの交易で栄えた民族

ヤオ族は、タンザニア南部、モザンビーク北部、マラウイ南部に居住するバントゥー系の民族です。主に、タンザニアのルヴマ州、モザンビークのニアサ州、マラウイの南部地域に分布しています。古くからインド洋沿岸のアラブ商人との交易によって勢力を築き、その影響から現在でもイスラム教徒が多いことで知られています。

歴史

19世紀頃、ヤオ族は現在のモザンビーク北部ニアサ州からタンザニア南部ルヴマ州にかけての領域に居住し、衰退したマラビ帝国の後を継いで、マラウイ南部地域まで勢力を拡大しました。彼らは内陸部で象牙、金、奴隷などを仕入れ、沿岸部のアラブ商人に売ることで富を築きました。

しかし、19世紀中頃になると、南アフリカから北上してきたンゴニ族がヤオ族の支配地域を脅かすようになります。ルヴマ州の東部地域（現在のトゥンドゥル）ではヤオ族は支配を維持しましたが、西部地域（現在のソンゲア周辺）はンゴニ族の支配領域となりました。マラウイにおけるヤオ族は、その後数代にわたりンゴニ族と戦闘を繰り広げることになります（ヤオ族同士の戦闘もありました）。

1885年に現在のタンザニアにドイツ領東アフリカが成立すると、域内のヤオ族はこれに反抗しました。植民地政府軍を撃退した戦闘もありましたが、最終的には敗北し、1899年に族長がモザンビーク側へ逃亡したことで抵抗は終結しました。

1891年には現在のマラウイにイギリス中央アフリカ保護領が成立します。植民地政府に従わないヤオ族の族長は武力によって個々に攻撃・制圧されていきました（1907年にはニヤサランド保護領が成立）。

1905年にドイツ領東アフリカ南部でマジ・マジ反乱が勃発すると、域内のヤオ族は反乱側の部族との敵対を理由にドイツ側に協力しました。一方で、ポルトガル領東アフリカ（モザンビーク）のヤオ族の族長は、反乱に失敗して亡命したンゴニ族の族長を匿ったという記録も残っています。

第一次世界大戦が勃発した1914年、イギリス保護領ニヤサランドとドイツ領東アフリカが戦闘を開始しました。当時ニアサランドでアフリカ人解放を主張していたジョン・チレンブウェはヤオ族であり、戦争中の1915年1月23日の武装蜂起の前日には、トゥンドゥルのドイツ領東アフリカの行政官宛てにイギリス軍に対して共闘することを呼び掛ける手紙を出しています（しかし実現には至りませんでした）。

参考文献

ed. I.N.Kimambo and A.J. Temu, "A History of Tanzania", Kapsel Educational Publications, ISBN 9987-632-00-9

関連項目

ルヴマ州
マジ・マジ反乱
ジョン・チレンブウェ

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