ヤクタネゴヨウ

ヤクタネゴヨウ（屋久種子五葉）とは

ヤクタネゴヨウ（学名：Pinus amamiana）は、マツ科マツ属に分類される常緑針葉樹です。別名としてアマミゴヨウ（奄美五葉）とも呼ばれています。和名の由来は、その自生地である屋久島と種子島にちなんでいます。

分布

ヤクタネゴヨウは、日本の九州南方に位置する屋久島と種子島という限られた地域にのみ自生しています。かつては中国南部に分布するカザンマツ（Pinus armandii）の変種、Pinus armandii var. amamiana とされることもありましたが、現在では独立種として扱われています。

特徴

ヤクタネゴヨウの最大の特徴は、その美しい五葉の針葉です。樹高は25m、幹の直径は1mを超えるほどに成長します。球果は長さ5～8cm程度で、松ぼっくりのような形をしています。日本の庭園などにも植栽されることがあります。

現状

自生するヤクタネゴヨウの数は、屋久島で1,000～2,000本、種子島では200本程度と推定されており、その個体数は非常に少ない状況です。そのため、国際自然保護連合（IUCN）や環境省のレッドリストでは絶滅危惧種に指定され、保護の対象となっています。

絶滅危惧の要因

近年、ヤクタネゴヨウの個体数は激減しており、その原因としてマツノザイセンチュウによる枯死が指摘されています。マツノザイセンチュウは、クロマツやアカマツなどにも被害を与える線虫で、ヤクタネゴヨウもこれに対する感受性が高いことがわかっています。このことが、ヤクタネゴヨウの減少に大きく影響していると考えられています。

今後の課題

ヤクタネゴヨウは、その生育地が非常に限られているため、一度個体数が減少してしまうと回復が困難です。そのため、マツノザイセンチュウの対策に加え、自生地の保護や苗木の植栽など、積極的な保護活動が求められています。今後も、ヤクタネゴヨウの生態や減少要因に関する調査研究を継続し、この貴重な樹木を次世代へと繋げていくことが重要です。

関連情報

稀少樹種ヤクタネゴヨウの枯死とマツ材線虫病（森林総合研究所九州支所）
http://www.ffpri.affrc.go.jp/kyushu/seika/0101yakutane.html
ヤクタネゴヨウ（絶滅危惧種情報検索）
https://www.biodic.go.jp/kiso/species/detail/1021008.html

もう一度検索