ヤコウタケ

ヤコウタケ（夜光茸）

ヤコウタケは、学名を Mycena chlorophos とするキノコで、ハラタケ目のクヌギタケ科に分類されます。この種は、独特な発光特性があり、その美しい緑色の光で知られています。

名称の由来

ヤコウタケという名は、夜に光る様子から来ており、古代ギリシャ語の「キノコ」を意味する「μύκης」と、緑色を表す「χλωρος」、光を示す「φως」が合成されて名づけられました。この名前は、発光特性を的確に表しています。しかし、文献によっては、属名と種名を合わせた一体的な解釈が誤りであることもあります。

別名

小笠原諸島では、ヤコウタケを「グリーンペペ」と呼ぶこともあります。この名称は観光用や流通名としても利用され、その地域に根付いた親しみを感じさせます。

生息環境

ヤコウタケは、ミクロネシアやポリネシア、東南アジアの亜熱帯地域を中心に分布しています。日本では主に小笠原諸島や八丈島に生息し、さらに仙台以南の太平洋沿岸地域にも見られます。最近では青森県内でもヤコウタケらしきキノコが確認されています。

このキノコは、ブナやナラなどの広葉樹の枯木や枝、さらにはヤシ科の木材にも見られ、主に群生して成長します。日本では、梅雨から夏の時期にかけての生育が活発です。特に2009年9月には広島市の植物公園で初めての発生が確認され、現在では栽培キットが販売されるなど、人気を集めています。

外観の特徴

ヤコウタケは、傘の直径が1～3cmと小ぶりで、長い柄を持ちます。その dış面は、ほぼ白に近い淡い灰色であり、強い粘性を持つゼラチン質の液体で覆われています。このキノコは特に傘や襞（ひだ）の部分が強く発光し、世界中の発光性キノコの中でも特に明るいとされています。日本では、最も発光が強いキノコと評価されており、一定の数集めることで小さな文字も読むことができるほどです。なお、子実体の寿命はわずか3日程度と非常に短命です。

毒性と利用法

毒性検査の結果、ヤコウタケは毒を持たないことが確認されていますが、質感が水っぽく、カビ臭いため食用には適していません。そのため、主に観賞用や学術研究として利用されています。

また、ヤコウタケに発光の秘密をに関して、名古屋大学大学院が発見したところによれば、ヒスピジンとヤコウタケに含まれる酵素が反応することで光を放つとのことです。

まとめ

ヤコウタケはその独特な発光特性から、多くの人々の注目を集めているキノコです。その美しい光を観賞するために、さまざまな場所での観察や栽培が行われています。興味のある方は、ぜひこの不思議な生物に足を運んでみてください。

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