ヤコブ (ゼベダイの子)

使徒ヤコブ：生涯、殉教、そして崇敬

使徒ヤコブは、新約聖書に登場するイエス・キリストの十二使徒の一人であり、使徒ヨハネの兄弟です。彼は、アルファイの子ヤコブと区別するために「大ヤコブ」とも呼ばれます。キリスト教の主要な教派では、聖人として崇敬されており、正教会では「聖福音者イオアンの兄聖使徒イアコフ」と呼ばれています。

イエスとの出会いと弟子入り

マルコによる福音書によれば、ヤコブは父ゼベダイ、兄弟ヨハネと共にガリラヤ湖畔で漁をしていました。イエスは彼らを弟子として招き、ヤコブとヨハネは父と雇い人を残してイエスに従いました。彼らは「ボアネルゲス」、すなわち「雷の子ら」とも呼ばれました。ヤコブはエルサレム教会においても重要な役割を果たしていましたが、後にヘロデ・アグリッパ1世によって捕らえられ、殉教しました。

殉教と聖人としての崇敬

使徒言行録によると、ヤコブはユダヤ人の歓心を買おうとしたヘロデ・アグリッパ1世によって捕らえられ、紀元44年頃に殉教したとされています。その後、9世紀には、ヤコブの遺体とされるものが、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラで「奇跡的に発見された」と伝えられています。当時のスペインは、イベリア半島におけるレコンキスタの最中であり、イスラム勢力と戦うキリスト教勢力の象徴として、ヤコブは熱狂的に崇拝されました。

サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼

この出来事により、サンティアゴ・デ・コンポステーラは、イベリア半島だけでなく、西欧カトリック世界における重要な巡礼地となりました。巡礼路が整備され、巡礼者を世話するための修道院も建てられました。現在でも、この地は巡礼の聖地として信仰を集めています。巡礼路は、隣国フランスからピレネー山脈を越えるルートが中核となっています。

シンボルと名前

ヤコブのシンボルとしては、ホタテ貝が有名です。フランス語ではホタテ貝を「聖ヤコブの貝（coquille Saint-Jacques）」と呼びます。英語圏でよく見られる「ジャック（Jack）」という名前は、ヤコブ（ジェイコブ）の愛称、あるいは旧約聖書に登場するヤコブに由来します。フランス語の「ジャック（Jacques）」もヤコブに対応する名前です。

記念日

カトリック教会では、ヤコブの記念日は7月25日です。正教会では、4月30日（ユリウス暦を使用する正教会では5月13日に相当）が記憶日とされています。

関連事項

聖書の登場人物一覧
サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路

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