ヤニツァ・コステリッチ

ヤニツァ・コステリッチ（Janica Kostelić）は、クロアチアを代表するアルペンスキー界のレジェンドです。1982年1月5日生まれ。その輝かしいキャリアは、数々のオリンピックメダルとワールドカップタイトルによって彩られています。

早すぎる才能の開花とジュニア時代の苦労

ヤニツァは3歳でスキーを始め、幼い頃から才能を発揮しました。しかし、ジュニア時代は決して恵まれた環境ではありませんでした。コーチである父親や、同じくスキー選手である兄のイヴィツァと共に、テントや車で寝泊まりしながらトレーニングを重ねたというエピソードは、彼女の強い精神力を物語っています。

13歳でヨーロッパのジュニア大会で好成績を収め、IOCのオリンピック奨学金を得て、才能を開花させていきました。

オリンピックでの輝かしい実績

1998年の長野オリンピックに16歳で出場。これはアルペンスキー競技において最年少のエントリーでした。その後、2002年のソルトレイクシティオリンピックと2006年のトリノオリンピックで、合計4つの金メダルを獲得。クロアチアに初の冬季五輪メダルをもたらし、1大会でアルペンスキー3種目を制覇した初の女子選手となりました。特にトリノオリンピックでは、複合で金メダルを獲得し、女子アルペンスキー史上最多となる計4つの金メダルと2つの銀メダルを獲得しました。

ワールドカップでの活躍

オリンピックでの活躍と並び、ヤニツァはワールドカップでも目覚ましい成績を収めました。2001年、2003年、2006年の3シーズンで総合優勝を果たし、2006年にはアルペン5種目すべてで勝利するという偉業を達成。これは女子アルペンスキー史上3人目の快挙であり、1シーズンでの5種目制覇は史上2人目でした。

世界選手権での勝利

アルペンスキー世界選手権でも、2003年に回転と複合、2005年には回転、滑降、複合で優勝。特に2003年の回転では、兄のイヴィツァと共に兄妹で優勝を飾るという感動的な場面もありました。

度重なる怪我との闘い

輝かしいキャリアの裏で、ヤニツァは度重なる怪我に苦しめられました。1999年には膝に重傷を負い、長期離脱を余儀なくされました。その他にも、持病の甲状腺疾患に悩まされるなど、満身創痍の中で競技を続けていました。それでも彼女は決して諦めることなく、不屈の精神で数々の困難を乗り越え、勝利を掴み取りました。

引退、そしてその後

度重なる怪我を考慮し、ヤニツァは2007年に引退を発表しました。引退後は、スポーツ行政の分野で活躍し、クロアチアのスポーツ振興に貢献しています。

主な記録

オリンピック：金メダル4個、銀メダル2個
ワールドカップ：総合優勝3回、種目別回転総合優勝3回、種目別複合総合優勝4回、通算30勝
* 世界選手権：金メダル5個

ヤニツァ・コステリッチは、その圧倒的な強さと、怪我に屈しない不屈の精神で、多くの人々に感動を与えました。彼女の功績は、クロアチアのスポーツ史に永遠に刻まれるでしょう。

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