ヤマゲラ

ヤマゲラ（山啄木鳥）について

ヤマゲラ（学名：Picus canus）は、キツツキ目の中型の鳥で、主にユーラシアの旧北区から東洋区にかけて広く分布しています。この鳥は、特に亜寒帯や温帯域で見られ、日本特有の鳥ではないものの、日本では北海道のみに生息しています。

分布と生息域

ヤマゲラは、西ヨーロッパからスカンディナヴィア、ロシアのシベリア南部、オホーツク沿岸、アムール流域、サハリンにまで広がっています。特に北海道では、2つの亜種、すなわちP. c. jessoensis（亜種ヤマゲラ）が留鳥として定着しており、利尻島にも渡来します。また、青森県や栃木県などでは迷鳥として観察されることがあるという点にも注目です。

この鳥は、ヒマラヤ山脈や中国、朝鮮半島、台湾、インドシナ半島などでも繁殖するため、その分布は非常に広範囲にわたります。

形態的特徴

ヤマゲラの全長は26〜33cmで、アカゲラよりも大きめであり、アオゲラやヨーロッパアオゲラとほぼ同じ大きさです。体重は110〜206gで、雌雄差は見られません。羽色に関しては、地域によってバリエーションがありますが、上面は主に緑色がかっています。また、顔は灰色で黒い線があり、横縞のない淡色の腹部をもっています。特に北海道に生息するヤマゲラは、他のキツツキと区別される特徴的な外見を持っています。

亜種の特徴

1. Picus canus canus: 基亜種で、ヨーロッパからシベリアに分布。頭部が灰色で、雄には赤い額があります。
2. Picus canus jessoensis: 北海道などに生息し、灰緑色の羽毛が特徴です。
3. Picus canus guerini: 中国に分布し、雌に黒い部分が多く見られます。
4. その他の亜種: これらには、各地域に特有の生態や外見の違いがあります。

生態と行動

ヤマゲラは主に森林や林地に生息し、公園や庭園、果樹園でも見られることがあります。日本では特に北海道に生息することが多く、樹上生活を好みますが、地面に降りることもあり、繁殖期には歌声を高くすることで知られています。雄は特に繁殖期になると独自の鳴き声で相手を引きつけ、また警戒時や周囲に対しても特有の声を発します。

食性と繁殖

食性は雑食で、昆虫類やその幼虫を中心に、果物や種子を食べることもあります。特に冬季にはカラ類の混群に参加して採餌することもあります。巣は主に枯れた木や生木に作られ、5〜8個の白色の卵を産みます。雌雄共に抱卵に関与し、約14〜15日で孵化します。巣立ちは約1か月後となります。

結論

ヤマゲラは日本の鳥類の中でも特異な存在であり、その生態や習性から多くの人々に親しまれています。また、亜種による特徴の違いや広い分布なども興味深い点です。自然環境の変化に伴い、本種の保護意識が高まる中で、私たちの身近なところでこの美しい鳥を観察できることは重要です。

もう一度検索