東洋区

東洋区とは

東洋区（Indomalaya / Oriental region）は、生物地理学における区分の一つで、地球上の生物分布を理解する上で重要な概念です。この地域は、東アジアの一部、東南アジアの大部分、そしてインド亜大陸を含む広大なエリアを指します。具体的には、日本のトカラ列島小宝島以南の南西諸島、台湾の西部平野、中国の秦嶺山脈以南、インドシナ半島、インド亜大陸などが含まれます。総面積は約750万平方キロメートルに及びます。

東洋区の区分

東洋区は、さらに3つの主要な区域に分けられます。それは、インド亜大陸、インドシナ、そしてフィリピン及び周辺諸島です。これらの地域は、それぞれ独自の生物相を育んでいます。

インド亜大陸: かつてゴンドワナ大陸の一部であったこの地域は、始新世にユーラシア大陸と合体しました。しかし、その後のヒマラヤ山脈の隆起が障壁となり、ユーラシア大陸の他の地域とは異なる生物相が形成されました。
インドシナ: 東南アジアの中心部を占めるこの地域は、多様な地形と気候が特徴で、熱帯雨林をはじめとする豊かな生態系が広がっています。
* フィリピン及び周辺諸島: 多くの島々からなるこの地域は、独自の進化を遂げた生物が多く生息しています。

東洋区の生物相

東洋区は、特有の生物が生息していることで知られています。哺乳類では、ヒヨケザル科、ツパイ科、メガネザル科、トゲヤマネ科などがこの地域に固有です。また、鳥類ではコノハドリ科、爬虫類ではオオクビガメやガビアルなど、いくつかの固有の亜科や科が存在します。これらの生物は、東洋区の独特な環境に適応し、独自の進化を遂げてきました。

日本における東洋区

日本において東洋区に属するのは、南西諸島の南部のみです。しかし、本土部分も、旧北区と東洋区の移行帯的な性質を持っています。例えば、カモシカ属、マカク属、ムササビ属などの哺乳類は、東洋区の動物にルーツを持つと考えられています。これは、過去の気候変動や大陸移動の影響を示唆するものです。

まとめ

東洋区は、多様な生物が生息する重要な生物地理区です。その独特な生物相は、地球の歴史や生物の進化を理解する上で貴重な情報を提供してくれます。この地域を保護することは、地球全体の生物多様性を守る上で不可欠です。

脚注

w:List of Indomalaya ecoregions

外部リンク

東洋区 - コトバンク

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