ヤマハ・ジョグ

ヤマハ発動機 ジョグ：日本のスクーター史を彩るロングセラーモデル

1983年、ヤマハ発動機から発売されたスクーター「ジョグ」は、日本のモーターサイクル史において重要な位置を占めるモデルです。長きに渡る販売期間と、多様なバリエーションは、日本の若者文化にも深く関わってきました。本稿では、その歴史と特徴を、歴代モデルや派生モデル、そしてCM出演者などを交えながら詳細に解説します。

歴代モデル：進化を続けるスクーター

ジョグの進化の歴史は、時代を反映する技術革新とデザイントレンドを鮮やかに示しています。

CE50E（27V）(1983年): 49cc、4.5ps(最終モデルは5.3ps)の2ストロークエンジンを搭載した初代モデル。軽量な車体と手頃な価格が人気を呼び、当時経営難に陥っていたヤマハ発動機を救うほどのヒット作となりました。特徴的なフロントカウルは、後のスクーターデザインに大きな影響を与えました。

CG50（2JA / 3CP）(1987年): 最高出力6psに向上。装備の充実化により車重が増加しました。1988年には、フロントディスクブレーキ搭載のスポーツグレード「JOG SPORTS」と、排気量79ccの「JOG SPORTS 80」が登場しました。

CY50（3KJ / 3RY）(1989年): メットイン機能が追加され、イギリスの人気バンド「ブロス」を起用したCMでも話題となりました。新開発の前傾シリンダーエンジンは、最高出力6.8psを発揮しました。スポーツグレードとして「JOG SPORTS（JOG-Z）」と排気量82.5ccの「JOG SPORTS 90」がラインナップに加わりました。

YG50（3YJ / 3YK）(1991年): 「ネクストゾーン」と呼ばれた4代目モデル。萩原健一、川越美和、小林聡美といった俳優をCMに起用しました。スポーツグレード「JOG Z」は、さらに進化した「スーパーJOG Z」、そして最高出力7.2psの「スーパーJOG ZR」へと発展していきます。スーパーJOG ZRは、長期間にわたり生産が続けられました。

YJ50（4JP / 4LV / SA11J）(1993年): 「JOGアプリオ」として登場。ヤマハの広報資料では5代目とされています。

YV50（SA01J / SA04J / SA12J）(1997年): 「スペースイノベーション」と呼ばれたモデル。T.M.RevolutionをCMに起用。盗難防止機構「Gロック」システムや大容量燃料タンクが特徴でした。

CV50（SA16J）(2001年): 「リモコンジョグ」の愛称で親しまれたモデル。ユースケ・サンタマリアが出演したCMが話題を呼びました。スポーツグレード「ZRエボリューション」も登場しました。台湾での生産が始まり、2ストロークエンジンの最終モデルとなりました。

CE50（SA36J / SA39J, SA55J / SA56J, SA57J / SA58J）(2007年): 排ガス規制強化を受け、水冷4ストロークエンジンに変更されました。燃費と環境性能を重視したモデルです。ヤマハによる自社生産最終モデルとなりました。

2BH-AY01 (2018年): ホンダ・タクトをベースとしたOEM供給モデル。ホンダ熊本製作所で生産されました。

8BJ-SEJ5J (2022年): 125ccモデル。国内初となる「ジョグ」ブランドの125ccスクーターです。

派生モデル：多様なニーズに対応するバリエーション

ジョグシリーズは、時代とともに多様な派生モデルを生み出しました。

ジョグポシェ: 大型バスケットを装備した、主婦層をターゲットとしたモデル。

ジョグプチ: シート高を低くした、小柄な人でも乗りやすいモデル。

アプリオ: ジョグの兄弟車種。実用性を重視した設計が特徴です。

BJ: 廉価版モデルとして台湾で生産されました。

エンジン：3世代にわたる進化

ジョグのエンジンは、大きく3世代に分類されます。

初代、2代目モデルの縦型エンジン
3代目、4代目モデルの横型エンジン
* 5代目以降の排ガス規制対応エンジン

特に3代目エンジンの横型は、他のヤマハスクーターにも多く流用されており、高い互換性を誇ります。

まとめ

「ジョグ」は、長年にわたる販売期間と、多様なモデル展開によって、日本のスクーター文化に大きな貢献を果たしました。その歴史と技術革新は、日本のオートバイ産業の進化を象徴する存在と言えるでしょう。 これからも進化を続けるジョグの動向に注目していきましょう。

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