ヤマハ・チャンプ

ヤマハ発動機製スクーター「チャンプ」シリーズ徹底解説

ヤマハ発動機がかつて製造・販売していたスクータータイプのオートバイ、「チャンプ」シリーズをご存知でしょうか？ その名の通り、チャンピオンの略称である「チャンプ (Champ)」の名を冠したこのシリーズは、人気車種ジョグのスポーティモデルとして登場し、多くのファンを魅了しました。本記事では、チャンプシリーズの魅力を、各モデルの詳細とともに深く掘り下げていきます。

チャンプシリーズの概要

チャンプシリーズは、ジョグシリーズをベースに、よりスポーティな走りを追求したモデルとして誕生しました。その軽快なハンドリングと高い運動性能から、スクーターレースのベースマシンとしても広く採用され、高い評価を得ていました。50ccモデルを筆頭に、排気量や装備を変化させた様々なモデルが展開され、時代に合わせて進化を遂げています。

各モデルの詳細

チャンプ50

1984年4月に発売されたチャンプ50は、5.2psの空冷2サイクル単気筒エンジンを搭載。特徴的なのは前後異径タイヤを採用している点で、フロント8インチ、リア10インチという組み合わせにより、ジョグよりもシャープなハンドリングを実現していました。発売当初は白/赤、白/青の2色展開でしたが、その後、黒/赤、赤/黒なども追加されました。デジタルメーター仕様のモデルも用意され、ユーザーの好みに応じた選択肢が提供されました。1985年には最高出力が5.5psに向上、オートチョークへの変更など改良が加えられ、1986年には5.8psにまでパワーアップ、ハロゲンヘッドライトや強化フロントフォークなどを備えた「チャンプ・スペシャル」も登場しました。

チャンプ80

1986年7月に発売されたチャンプ80は、排気量を80ccに拡大した原付二種モデルです。7.0psのエンジンを搭載し、50ccモデルと比較して圧倒的なパワーアップを実現しました。大径フロントドラムブレーキやセリアーニ式フロントフォーク、リアガスショックなど、装備も充実しており、50ccモデルではオプションだったバックミラーも標準装備されました。30km/h制限の無い走行が可能なため、自動二輪車ユーザーのセカンドマシンとしても人気を博しました。

チャンプRS

1987年4月に登場したチャンプRSは、チャンプ50をベースにしたスポーティグレードです。チャンバーマフラーと6.3psエンジン、フロントディスクブレーキを搭載し、当時の50ccスクーターの中でもトップクラスの走りを実現しました。前後同径タイヤを採用することで、ハンドリングの安定性を向上させています。エアロアンダーカウルやアルミハンドルバーエンドキャップなどの装備も、レーシーな外観を際立たせていました。また、ヤマハワークスカラーをモチーフにしたカラーリングも魅力の一つで、限定カラーモデルも数多く発売されました。

チャンプCX

1988年3月に発売されたチャンプCXは、チャンプシリーズ唯一のメットイン・スクーターです。チャンプRS譲りの6.3psエンジンを搭載しながら、シート下にヘルメットが収納できるスペースを確保しました。チューブレスタイヤの採用やバックミラーデザイン変更など、実用性の向上も図られています。デザインも従来モデルとは大きく異なり、より実用性を重視したモデルとなっています。このモデルの登場により、50ccモデルのチャンプはRSを除き生産終了となりました。

チャンプシリーズの系譜とその後

チャンプシリーズは、そのスポーティな走りや個性的なデザインで、多くのライダーから支持を集めました。しかし、メットインスクーターの普及や、他のメーカーによる高性能モデルの登場など、市場環境の変化も影響し、シリーズは1988年をもって終焉を迎えます。それでも、チャンプシリーズが当時のスクーターシーンに与えた影響は大きく、今も多くのファンに語り継がれる伝説的なモデルとして記憶されています。

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