ヤマハ・ドラッグスター

ヤマハ・ドラッグスター：アメリカンクルーザーの系譜

ヤマハ発動機が製造・販売するドラッグスターは、長きに渡り愛されてきたアメリカンクルーザータイプのオートバイです。1996年の初登場以来、250ccから1100ccまで様々な排気量のモデルがラインナップされ、独特のスタイルと乗り味で多くのライダーを魅了してきました。本稿では、ドラッグスターシリーズの歴史、各モデルの特徴、そして海外展開について詳しく解説します。

ドラッグスター400/クラシック400：シリーズの礎

ドラッグスターシリーズの始まりは、1996年2月に登場したドラッグスター400 (DS4) です。これはXV400ビラーゴの後継モデルとして開発され、空冷V型2気筒SOHC2バルブ400ccエンジンを搭載。ビラーゴのエンジンを改良し、鼓動感を強調した力強い走りを実現しています。低く構えた車体、リジット風モノショック式リアスイングアーム、そして露出したシャフトドライブなど、メカニカルなデザインが特徴です。ハンドリングもアメリカンタイプとしては素直で扱いやすく、多くのライダーに親しまれました。

1998年2月には、ドラッグスター400をベースにした派生モデルとしてドラッグスタークラシック400 (DSC4) が登場。ワイドな16インチフロントタイヤ、前後ディープフェンダー、大型ヘッドライト、鞍型シート、専用フットペグなどを装備し、より重厚で風格のあるスタイルを確立しました。

2000年にはマイナーチェンジを行い、エンジンや車体改良が行われ、2009年には排出ガス規制に対応したモデルが発売されましたが、2017年には生産が終了しました。

ドラッグスター1100/クラシック1100：シリーズの頂点

1999年3月には、シリーズのフラッグシップモデルとしてドラッグスター1100 (DS11) が登場しました。「イレブン」の愛称で親しまれたこのモデルは、空冷V型2気筒SOHC2バルブ1100ccエンジンを搭載。ヤマハのスポーツモデルにも採用されている技術を投入し、高性能と力強い走りを両立しました。フレームは、従来のプレス式バックボーンフレームからダブルクレードルに変更され、サスペンションもツインショックからリジット風モノショックへと進化。リアブレーキもドラム式からディスク式に変更されるなど、大幅な改良が加えられました。

400ccモデルと同様に低く構えた車体に1100cc独特の迫力あるスタイル、そしてスポーティーなエンジンフィールとハンドリングは、多くのライダーを虜にしました。2000年には、クラシックモデルであるドラッグスタークラシック1100 (DSC11) も追加されましたが、2008年モデルを最後に国内販売は終了しました。輸出仕様は、欧州向けの「XVS1100 DragStar」が2009年まで、北米向けの「V-Star 1100」が2013年まで販売されました。

ドラッグスター250：シリーズのエントリーモデル

2000年6月には、エントリーモデルとしてドラッグスター250 (DS250) が登場しました。XV250ビラーゴの後継車種として、空冷250cc V型2気筒エンジンを搭載。ビラーゴのエンジンをベースに改良が加えられ、サイレントカムチェーンやオートテンショナーなどの採用により、静粛性と信頼性が向上しました。

ドラッグスターシリーズの中では、ツインショック式サスペンションとチェーン駆動を採用している点が特徴です。2008年には排出ガス規制に対応したモデルが発売されましたが、2017年に生産が終了しました。2010年代において、日本国内で販売されていた250ccクラスのアメリカンクルーザーとしては唯一のモデルでした。

その他のモデルと輸出仕様

ドラッグスターシリーズには、400ccモデルをベースにした650ccモデル「ドラッグスター650」(XVS650)や、250ccモデルをベースにした125ccモデル「ドラッグスター125」(XVS125)なども存在しました。これらのモデルは、日本国内では少量ながら逆輸入車として販売されていました。

北米市場では、「Star Motorcycles」ブランドの下、「V-Star」シリーズとして展開されています。V-Starシリーズには、ドラッグスター650をベースにしたモデルなどがラインナップされています。

まとめ

ヤマハ・ドラッグスターシリーズは、長年にわたり多くのライダーに愛されてきた人気モデルです。個性的なスタイル、スムーズな乗り味、そして幅広いラインナップは、その人気の理由でしょう。生産終了となったモデルもありますが、中古市場でも根強い人気を誇っています。それぞれのモデルが持つ魅力を再確認し、その歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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