ヤマハ・マグザム

ヤマハ・マグザム：快適なタンデムライドを追求したスクーター

2005年、ヤマハ発動機から誕生したマグザム(MAXAM)は、その名の通り、快適なタンデム走行を重視したスクーターです。高速道路の2人乗り解禁や、AT限定自動二輪免許の導入を機に、新たなニーズに応えるべく開発されました。

デザインと機能性の融合

マグザム最大の特徴は、低く構えられた車体デザインです。これは単なる見た目だけでなく、ソロとタンデムでの重心変化を最小限に抑え、安定した走行性能を実現するための工夫です。シート高は655mmと低く設定され、足着き性の良さも確保。タンデムシートとの段差も少なく、タンデムライダーにとっても乗り降りしやすく、また前後のライダーの視線も近くなるよう設計されています。これらの配慮から、2人乗りでの快適性は非常に高く評価されました。

力強いエンジンとスムーズな走り

搭載されるエンジンは、249ccの水冷DOHC4バルブ単気筒。最高出力15kW（20ps）を発揮し、力強い走りを提供します。トランスミッションは、自動遠心クラッチとVベルト式無段変速機の組み合わせで、スムーズで扱いやすい変速性能を実現しています。初心者でも安心して運転できる点が、多くのユーザーに支持された理由の一つと言えるでしょう。

ライバル車と競い合う存在感

マグザムは、当時市場で人気を博していたホンダ・フュージョンやスズキ・ジェンマといったライバル車が存在する中で、独自の地位を築きました。これらのライバル車と比較して、マグザムはタンデム性能と快適性を特に重視した設計がなされており、それにより他車にはない独自の個性と魅力を持つモデルとして人気を得ました。

カスタムモデルのベースマシンとしての活躍

マグザムは、オートバイ販売チェーンのレッドバロンと、人気ファッションブランドのマスターマインド・ジャパンが共同でプロデュースしたカスタムモデル「CP250MMJ」のベース車両としても使用されました。315万円という高価格にも関わらず、その洗練されたデザインと高い品質から多くの注目を集め、マグザムのブランドイメージをさらに高めることに貢献しました。これは、マグザムが単なる交通手段ではなく、個性を表現できるツールとしても捉えられていたことを示しています。

生産終了とその後

2017年9月1日、ヤマハ発動機はマグザムの生産終了を発表しました。長きに渡り多くの人々に愛されたマグザムの生産終了は、多くのユーザーにとって残念な出来事でしたが、その高い人気と個性的なスタイルは、多くのライダーの記憶に強く刻まれています。中古車市場でも根強い人気を誇り、現在でも多くのファンから愛され続けているモデルとなっています。生産終了後も、その存在感は衰えることなく、ヤマハを代表するスクーターとして語り継がれることでしょう。

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