ヤマハ・マジェスティ

ヤマハ・マジェスティシリーズ：スクーター史に名を刻んだ名車群

ヤマハ発動機が手掛けた「マジェスティ」シリーズは、日本のスクーター市場に大きな影響を与えた名車群として知られています。その歴史は、1995年に登場したマジェスティ250から始まり、250cc、400cc、125ccモデル、そしてマジェスティSと、多様なバリエーションを展開。それぞれのモデルが時代のニーズを捉え、進化を遂げてきました。本稿では、マジェスティシリーズの系譜をたどり、各モデルの特徴や魅力を詳しく解説します。

マジェスティ250：スクーターの概念を変えた先駆者

1995年、マジェスティ250の登場は、それまでのスクーターの常識を覆すものでした。大柄な車体と大容量メットインスペース、そして当時としてはクラス最強の21psエンジンは、圧倒的な存在感を放ちました。発売と同時に大ヒットを記録し、翌年には250ccクラスの登録台数トップに輝いたほどです。その後、ディスクブレーキ搭載のSVモデルやABSモデルが追加され、更なる進化を遂げました。

1999年にはフルモデルチェンジを果たした第二世代が登場。エンジン性能の向上、新設計フレーム、刷新されたデザインに加え、量産スクーター初となるフルフェイスヘルメット2個収納可能なシート下スペースを実現。高い評価を得て、年間最多販売台数を記録する大ヒットモデルとなりました。2002年のマイナーチェンジでは、リモコンキーシャッターや5連メーター、そしてABSモデルが復活。さらに、カスタム仕様のマジェスティCも発売されました。

2007年には第三世代がデビュー。コンセプトは「シームレス&ローシェイプ」。4灯式ヘッドライトなど、デザインは一新。フューエルインジェクションと水冷SOHC4バルブエンジンを搭載し、トルク重視のセッティングとYCC-AT（電子制御式変速装置）の組み合わせ、軽量化によって走行性能の大幅な向上を実現しました。60Lの大容量観音開き式シート下収納やスマートキーシステムなど、使い勝手も向上。2012年にはマイナーチェンジを受け、フロント周りが刷新されました。2017年、22年の歴史に幕を閉じました。

グランドマジェスティ：ツアラーとしての新たな地平

2004年に登場したグランドマジェスティ250は、欧州仕様のマジェスティ400をベースに250ccにスケールダウンしたモデルです。ツアラーとしての使用を強く意識した設計で、DOHC4バルブ水冷エンジン、フューエルインジェクション、大径ホイールなどを採用。街乗りを重視したマジェスティ250とは異なる特性を持つモデルとして併売されました。

ユーザーからの400cc版への要望の高まりと、二輪AT限定免許制度の開始を受け、2005年にはグランドマジェスティ400が発売。教習車としても採用され、2016年まで販売されました。250ccモデルは、平成18年排出ガス規制により2007年に生産終了となりました。

マジェスティ125：グローバル展開と並行輸入ブーム

マジェスティ125は、台湾と欧州で生産された2種類のモデルが存在します。台湾製のYP125は、日本の本社が開発。1998年から製造され、2002年にはFI仕様が登場。大柄なボディと高級感のある外装、手頃な価格から、日本への並行輸入が盛んに行われ、「コマジェ」の愛称で親しまれ、日本国外生産車の存在を国内に広めました。2008年には騒音規制強化のため販売終了となりました。

欧州仕様のYP125は、国内メーカー初の欧州現地生産4サイクルスクーターとして注目を集めました。イタリアのエンジンメーカー、モトーリ・ミナレリ社製のエンジンを搭載し、YMES（ヤマハスペイン工場）で生産されました。150ccと180ccモデルも存在しましたが、現在は販売終了となっています。

マジェスティS：新たな時代のコンパクトスポーツスクーター

2013年に登場したマジェスティSは、台湾で製造されたSMAXを日本仕様として正規輸入したモデルです。コンパクトな車体に155ccエンジンを搭載し、スポーティな走りを提供。2018年にはフルLEDヘッドライトへの変更など、モデルチェンジが行われました。2022年、排出ガス規制に対応できず生産終了となりました。

まとめ：時代を彩ったマジェスティシリーズ

マジェスティシリーズは、長年にわたり、スクーター市場をリードしてきた人気モデルです。それぞれのモデルが時代のトレンドやニーズを反映し、進化を遂げてきました。その歴史は、日本のスクーター史において重要な一章を刻んでいると言えるでしょう。

もう一度検索