ヤマハ・EOSシリーズ

EOS（イオス）シンセサイザーシリーズ

EOSとは、ヤマハが1988年から2007年まで展開したシンセサイザーのシリーズ名です。初代モデルとなるYS200が発表され、その後も多くのモデルがリリースされました。名称「EOS」は「Entertainment Operating System」の略称で、音楽制作の面白さを広げることを目的としています。

概要

EOSシリーズは女性や初心者の利用を促進するためにデザインされており、音楽界の著名プロデューサーである小室哲哉や浅倉大介をイメージキャラクターとして起用しました。特に、浅倉大介が担当した音色作成により、ダンスミュージックが多く含まれるようになりました。アマチュア音楽生命を高めるために必要な機能は備えられており、シリーズは特に1990年代に入ってから多くの支持を得ることとなります。

EOSシリーズは、顧客に向けたプロモーション活動にも力を入れており、毎年「EOS CONTEST」が開催されました。このコンテストでは、小室や浅倉が審査委員を務め、参加者が自ら制作した楽曲を披露する場となりました。このような積極的な取り組みが功を奏し、シリーズ全体で10万台以上が出荷されるベストセラーとなりました。

音源とシミュレーション

B500以降のモデルには内蔵された音源があり、TM NETWORK|TM_NETWORKやtrfといった小室哲哉が手掛けたアーティストの音をシミュレートできる機能がありました。このため、一部のライブパフォーマンスにおいてはEOSがリモートキーボードとして使用され、他の高級シンセサイザーとの連携機能も持っついていました。

シリーズの進化

初代モデルYS200やB200は、FM音源を搭載し、簡便に音色編集ができる点が好評を得ました。続くB500やB700はPCM音源を追加し、リアルな楽器音を再現できるようになりました。1995年に登場したB900以降は、GM音源へと推移し、DTM（デスクトップミュージック）環境にめぐる変革を反映しました。

特に注目すべきはB2000です。これは、サンプリング機能や，シーケンサーを導入し、プロ音楽制作にも対応できるようになりました。このモデルでは、鍵盤を押すと伴奏が自動で演奏される機能もあり、そのユーザビリティは多くのアーティストから赞誉されました。

教育向けの普及

EOSシリーズは、音楽教育の現場でも多く使われるようになり、特にSDXシリーズは日本語表示のパネルを採用することで、教育機関での採用が進みました。これにより、シンセサイザーの楽しさを多くの若い世代に伝え、音楽制作の入り口を広げる役割を果たしています。

近年の動向

EOSシリーズは2007年に生産が終了しましたが、その影響は現在でも続いています。例えば、ヤマハは2012年に「ヤマハビンテージサウンドコレクション」として、EOSの音色を集めたUSBメモリを配布しました。また、2019年には小室哲哉の直筆サイン入りの特別モデルも販売され、このような記念モデルはファンの間で注目されています。

最後に

EOSシリーズは、シンセサイザーという楽器の利用者層を広げ、多くの人々に音楽制作の楽しみを提供してきた歴史的な製品です。音楽制作の手軽さや楽しさを追求したこのシリーズは、ただの楽器以上の文化的な意義を持つものといえるでしょう。今後もその名残を感じさせるような両者のコラボレーションや、新しい形のシンセサイザーが期待されます。

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