ヤマハ・GX

ヤマハGXシリーズ：1970年代の個性派オートバイ

ヤマハ発動機は、1970年代に「GX」シリーズというオートバイを製造・販売していました。GXシリーズは、排気量別に複数のモデルがラインナップされ、それぞれのモデルが独自の個性と魅力を持っていました。本稿では、GXシリーズの概要と各モデルの特徴について詳しく解説します。

GX750：シリーズのフラッグシップモデル

GXシリーズのトップモデルであるGX750は、1976年に登場しました。TX750の後継モデルとして750ccクラスに投入されたGX750は、保守的な設計思想とライバル車種への対抗意識が融合した一台でした。

最大の特徴は、3気筒エンジンです。空冷4ストロークDOHC2バルブ3気筒エンジンは、3in1マフラーと120°クランクを採用し、最高出力60psを達成しました。また、メンテナンスフリー化を目的に、シャフトドライブを採用していました。これは、チェーン駆動が主流だった当時としては画期的な試みでした。

1977年にはモデル改良が行われ、マフラーを2本出しに変更、エアクリーナーボックスを大型化、バルブタイミングや燃焼室形状、点火方式の変更などを行い、最高出力を67psに向上させました。

海外市場では「XS750」として販売され、1980年には排気量が825ccに拡大されたXS850へとモデルチェンジ。さらに、アメリカンタイプのXS750 SpecialやXS850 Midnight Specialといったバリエーションモデルも追加されました。しかし、1981年には空冷4気筒エンジンのXJ750Eにモデルチェンジされ、GX750の生産は終了しました。最終モデルにはキャストホイールが採用されましたが、「SP」の名称は付けられていませんでした。

GX500：カフェレーサータイプのミドルモデル

DOHC4バルブ2気筒エンジンを搭載したGX500は、カフェレーサータイプとして登場しました。TX500をベースに開発され、48psの最高出力と優れた加速性能を誇っていました。しかし、他のGXシリーズとは異なり、キャストホイールは採用されず、スポークホイールがそのまま踏襲されました。一代限りの生産で終了しました。

GX400/GX250：シリーズのエントリーモデル

GX400とGX250は、ヤマハ初の4サイクル400ccおよび250ccモデルとして、1977年6月に発売されました。角型燃料タンクを採用したカフェレーサー風のデザインが特徴的です（後期モデルではティアドロップ型タンクに変更されました）。初期モデルの多くは輸出向けに生産されたため、日本国内では希少車となっています。

エンジンは、空冷SOHC2バルブ直列2気筒で、バランサーは搭載されていませんでした。最高出力はGX400が37ps、GX250が25psでした。180度クランクを採用し、鋭い加速を実現していました。駆動方式は、GX750とは異なり、一般的なチェーンドライブでした。

1978年には、キャストホイールが採用され、GX400SPとGX250SPとして販売されました。タンクデザインも変更されています。車体周りについては、基本設計は共通でしたが、リアタイヤサイズはGX400が3.50インチ、GX250が3.25インチと異なっていました。そのため、当時のバイク雑誌では、「GX400は十分な動力性能だが、GX250はやや重量過多ではないか」といったインプレッションも見られました。

まとめ

ヤマハGXシリーズは、750ccのフラッグシップモデルから250ccのエントリーモデルまで、幅広いラインナップを展開していました。それぞれのモデルが個性的なデザインとエンジン特性を持ち、当時のオートバイシーンに彩りを添えました。現在では希少車となっているモデルも多く、コレクターズアイテムとしても注目されています。

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