ヤマハ・MUシリーズ

ヤマハ MUシリーズ：DTM音源モジュールの系譜

ヤマハのMUシリーズは、1994年から展開されたDTM（デスクトップミュージック）用音源モジュールのシリーズです。従来のTGシリーズの後継として登場し、XGフォーマットを新たに採用したことで、それまでの音源とは一線を画すサウンドを提供しました。本稿では、MUシリーズの歴史、各モデルの特徴、そしてその進化について詳しく解説します。

シリーズ概要

MUシリーズは、ヤマハが長年培ってきた音源技術を結集したシリーズです。初代機であるMU5は、XGフォーマットには対応していませんでしたが、その後のMU80でXG音源の基本形を確立しました。シリーズ名の「MU」は、ギリシャ神話の女神「MUSE」と英語の「MUSIC」に由来すると言われています。

全てのモデルでPCM音源を採用しており、上位機種ではプラグインボードによる音源拡張が可能でした。また、PCとの接続だけでなく、シンセサイザーモジュールとしての利用も想定されており、パフォーマンスモードを搭載した機種もありました。

全てのモデルは既に生産を完了していますが、その革新的な技術とサウンドは、現在でも多くの音楽愛好家やクリエイターに支持されています。

各モデルの詳細

MU5

発売年: 1994年
特徴: シリーズ初のモデルで、キーボード付きのコンパクトな音源モジュール。16パート28音ポリフォニック。GM音源に対応。
その他: シリアル接続可能、乾電池駆動対応。

MU80

発売年: 1994年
特徴: XG音源の最初のモデル。32パート64音ポリフォニック。多彩なエフェクトとイコライザーを搭載。
その他: マイクやギターを接続可能、パフォーマンスモード搭載。

MU50

発売年: 1995年
特徴: MU80の廉価版。16パート32音ポリフォニック。DOC音色配列を搭載。
その他: GS音源シミュレートモード搭載。

MU10

発売年: 1996年
特徴: ディスプレイとボタンを省略したモデル。バッテリー駆動可能で、ADインプット機能を搭載。
その他: コンパクトなサイズ。

MU90

発売年: 1996年
特徴: MU80の後継機。64音ポリフォニック、32パート。豊富なエフェクトとイコライザーを搭載。
その他: ADインプット機能搭載。

MU90B

発売年: 1996年
特徴: MU90のディスプレイとボタンを省略したモデル。
その他: HELLO!MUSIC!90Bの付属音源として販売。

MU90R

発売年: 1996年
特徴: MU90のラックマウントモデル。
その他: 独立アウト端子とロータリーエンコーダーを搭載。

MU100

発売年: 1997年
特徴: シリーズの転換点となったモデル。64音ポリフォニック、32パート。プラグインシステムを搭載。
その他: 新しい音色マップと拡張性。

MU100B

発売年: 1998年
特徴: MU100のディスプレイとボタンを省略したモデル。
その他: 後に単品販売もされた。

MU100R

発売年: 1997年
特徴: MU100のラックマウントモデル。プラグインボードを2枚装着可能。
その他: 独立アウト端子とロータリーエンコーダーを装備。

MU128

発売年: 1998年
特徴: MU100の後継機。128音ポリフォニック、64パート。操作性を重視したデザイン。
その他: プラグインスロット3個搭載。

MU128 Version 2.0

特徴: MU128のGM2規格対応バージョン。
その他: データ送信によりアップグレード可能。

MU15

発売年: 1998年
特徴: 携帯可能な音源。32音ポリフォニック、16パート。バッテリー駆動対応。
その他: 大型液晶ディスプレイ搭載。

MU2000

発売年: 1999年
特徴: シリーズ最高峰モデル。128音ポリフォニック、64パート。GM2規格に対応。サンプリング機能、スマートメディアスロット搭載。
その他: USB端子、光デジタル出力端子装備。

MU1000

発売年: 1999年
特徴: MU2000からサンプリング機能などを省略したモデル。
その他: その他の機能はMU2000と同等。

MU2000 Extended Edition

特徴: MU2000のアップグレード版。エフェクトが強化され、GSモードに対応。
その他: A/Dインプット機能も拡張。

MU1000 Extended Edition

特徴: MU1000のアップグレード版。MU2000 Extended Editionと同様の機能を追加。
その他: ヤマハHPからデータをダウンロードしてアップグレード。

MU100Bs

発売年: 1999年
特徴: MU100Bの銀色モデル。プラグインボードの性能を十分に発揮できる。
その他: HELLO!MUSIC!100Bsの付属品。

MU500

発売年: 2000年
特徴: MU1000の簡易版モデル。64音ポリフォニック。ADインプット機能などが省略。
その他: 1Uハーフラック筐体。

まとめ

ヤマハMUシリーズは、1994年から2000年にかけて、DTMの世界を大きく変えた音源モジュールシリーズです。各モデルは、それぞれの時代背景やニーズに合わせて進化を遂げ、多くのクリエイターに愛されました。現在では生産を完了していますが、その技術とサウンドは、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

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