ヤマハ・QYシリーズ

ヤマハ QYシリーズ：音楽制作の可能性を広げた音源内蔵型シーケンサー

ヤマハQYシリーズは、1990年に発売されたQY10を皮切りに、長年にわたり展開された音源内蔵型シーケンサーです。ハンディタイプからデスクトップ型まで、様々なモデルが登場し、多くの音楽クリエイターに愛用されました。

QYシリーズの由来

「QY」という名称は、「Sequencer」の「Q」と、前身であるQXシリーズの「X」の次である「Y」から来ています。ヤマハの頭文字であるという説もあります。

QYシリーズの特長

QYシリーズの最大の特徴は、その携帯性とスタイルシーケンサー機能にあります。小型軽量でバッテリー駆動が可能なため、場所を選ばずに音楽制作ができます。スタイルシーケンサーは、プリセットされたスタイル（ラテン、ジャズ、ロックなど）とパターンを組み合わせ、コードを指定するだけで伴奏を簡単に作成できる機能です。

従来のシーケンサーは外部音源との接続が必要でしたが、QYシリーズはAWM音源を内蔵しており、これ1台で作曲・編曲が可能です。DTM初心者でも手軽に音楽制作を始められるのが魅力でした。

シリーズの主なモデル

QY10 (1990年)：シリーズ第1弾。小型で手軽に作曲できるコンセプトが人気を博しました。
QY8 (1994年)：シリーズ唯一の譜面入力対応機種。ゲーム機のようなボタンでステップ入力を行います。
QY20 (1992年)：QY10の上位機種。和音入力に対応し、ディスプレイも大型化されました。
QY22 (1995年)：QY20の音源部をGM規格に拡張したモデルです。
QY70 (1997年)：AWM2音源を搭載し、PCとの接続も可能になりました。高性能な音源とシーケンサーが特徴です。
QY100 (2000年)：QY70をベースに、スマートメディアスロットとギター入力端子を追加したモデルです。
QY300 (1994年)：初のデスクトップ型モデル。フロッピーディスクドライブや操作性の高いインターフェースを搭載しています。
QY700 (1996年)：QY300の上位機種。高音質な音源と多機能なシーケンサーを搭載したプロユースモデルです。
* QR10 (1993年)：QYの機能を簡易化し、サンプリング機能を追加したモデルです。

デスクトップ型への進化と他機種への応用

DTMがPCベースへと移行する中、QYシリーズはデスクトップ型のQY300、QY700を発売し、プロユースの需要に応えました。これらの機種のシーケンサー部分は、QS300やヤマハEOSシリーズにも応用されています。また、MOTIFシリーズのシンセサイザーには、QY700の機能が内蔵シーケンサーとして搭載されています。

QYシリーズは、その手軽さと多機能性で、多くの音楽クリエイターに愛されてきました。現在では生産完了となっていますが、そのDNAはヤマハの様々な製品に受け継がれています。

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