ヤマハ・RD90

ヤマハRD90：日本の道路を駆け抜けた小型バイクの系譜

1974年、ヤマハ発動機は東京モーターショーで発表したRD90を、満を持して市場に投入しました。このモデルは、日本の道路事情に最適化された、スポーティな小型バイクとして、多くの若者たちの心を掴みました。その魅力を、デザイン、性能、歴史的背景から多角的に見ていきましょう。

軽快な走りを支えた、革新的なテクノロジー

RD90の心臓部には、空冷2ストローク単気筒エンジンを搭載。7ポートトルクインジェクション方式を採用することで、軽快な加速と扱いやすい出力特性を実現しました。これは当時の技術革新を象徴するものであり、小型バイクながら力強い走りを可能にしています。また、ダブルクレードルフレームと前輪の油圧式ディスクブレーキは、高い操縦安定性と制動力を確保。日本の道路環境において、安全で快適な走行に貢献しました。

洗練されたデザインと、時代の流れ

RD90は、そのスタイリッシュなデザインも大きな魅力でした。発売当初はアイビーグリーンとバハブラウンの2色展開で、時代を感じさせるカラーリングが人気を集めました。1977年にはモデルチェンジを行い、フレーム、エンジン、外装を一新。ブリリアンレッドとシルバーダストという、より鮮やかなカラーリングを採用し、デザインの洗練度を高めました。さらに1979年には、カラーリングをキャニオンレッドとクリスタルシルバーに変更。これらの変化は、時代のトレンドを反映し、常に新鮮さを保つ工夫が凝らされていました。

日本市場限定モデルとしての存在感

RD90は日本国内専売モデルとして発売されました。日本の法令では第二種原動機付自転車に分類され、手軽に乗れる利便性も相まって、爆発的な人気を博しました。これは、日本の道路事情やユーザーニーズに合わせた、ヤマハ発動機の戦略的な製品展開の成功例と言えるでしょう。

スペック詳細：進化を遂げたRD90

初期モデル（1974年）と最終モデル（1979年）のスペックを比較することで、RD90の進化が分かります。


僅かながらサイズや重量に変更が見られますが、最高出力は据え置きで、トルク特性が若干変化していることが分かります。これは、より扱いやすいエンジン特性を目指した改良と言えるでしょう。

まとめ：時代を彩った、小型バイクの代表格

ヤマハRD90は、その軽快な走り、スタイリッシュなデザイン、そして時代のニーズを的確に捉えた製品戦略によって、多くのユーザーから愛されました。日本のモータリゼーションの歴史において、重要な役割を果たしたモデルと言えるでしょう。その存在は、日本のバイク史に、鮮やかな1ページを刻んでいます。RD90は、単なる乗り物ではなく、当時の若者たちの夢や憧れを乗せて、日本の道路を駆け抜けた一台と言えるでしょう。

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