ヤマハ・TDM

ヤマハTDMシリーズ：快適性と走りの両立を追求した大型オートバイ

ヤマハTDMシリーズは、ヤマハ発動機が製造・販売してきた大型オートバイです。オンロードとオフロードの要素を融合させた個性的なモデルとして、長年に渡り多くのライダーに支持されてきました。快適なライディングポジションと高い走行性能を両立させたオールラウンドな性能が、その魅力と言えるでしょう。

TDM850：キング・オブ・マウンテンロード

1991年に「キング・オブ・マウンテンロード」をコンセプトにデビューしたTDM850は、上半身の負担が少ないリラックスしたライディングポジションと、優れた防風性能を両立。長距離走行でも疲労を軽減できる設計が特徴でした。

初期型(3VD/4EP)は、XTZ750スーパーテネレをベースに排気量を拡大した水冷DOHC5バルブ並列2気筒エンジンを搭載。高剛性のデルタボックスフレームを採用しながらも、オフロードモデルを思わせるスタイリングが目を引きました。純粋なオンロードモデルとして設計されている点も見逃せません。日本での販売は1992年2月から開始されました。H・R・ギーガーがデザインに関わったという噂も存在しましたが、ヤマハによって否定されています。

1996年には後期型(4TX/5GG)が登場。フロントとサイドフェアリングのデザインを一新し、「オーガニックフォルム」と称される曲線を多用したスタイリングに進化しました。エンジン出力は72psから80psに向上。クランクシャフトの変更により、排気のパルス感が強調されたセッティングとなっています。ラジアルタイヤの採用、燃料タンク容量の拡大(20L)なども行われました。フロントサスペンションの大口径化(φ41㎜→φ43㎜)も実施されましたが、内部構造は変更されています。輸出仕様は1999年モデルから燃料計やギア比、ミラー形状などが変更されました。

TDM900/TDM900A：進化した「TDMらしさ」

2002年には、TDMシリーズの2代目となるTDM900が登場。TDM850を踏襲しつつ、よりワイルドな「ニューエッジフォルム」を採用。個性的な2灯式マルチリフレクターヘッドライトと相まって、「TDMらしさ」がより強調されたデザインとなりました。

2008年には、ABS搭載モデルのTDM900Aが追加されました。

南アフリカ仕様

南アフリカ仕様は、排気量を849ccから897ccに拡大。最高出力63.4kW(86ps)/7500rpm、最大トルク88.8N･m(9.1kgf･m)に向上しています。EURO3排出ガス規制に対応するため、電子制御フューエルインジェクション、エアインダクションシステム、三元触媒内蔵式サイレンサーなどを採用。6速ミッション、アルミ製フレームとスイングアームによる軽量化と高剛性化も図られています。ブレーキシステムも強化され、タイヤサイズも変更されています。メーターパネルもデジタル表示となり、情報量が増加しました。2004年モデルからは、エンジン制御、足回り、ブレーキマスターシリンダーなどが変更されるマイナーチェンジが行われました。

まとめ

ヤマハTDMシリーズは、快適性と高い走行性能を両立させた、魅力的な大型オートバイです。それぞれのモデルで進化を遂げながら、長年にわたって多くのライダーに愛され続けてきました。その歴史と特徴を知ることで、TDMシリーズの魅力をより深く理解できるでしょう。

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