ヤマハ・XJ400

ヤマハXJ400：400ccクラスを彩った名車

ヤマハXJ400は、1980年代にヤマハ発動機が国内向けに生産・販売していた400ccクラスのオートバイです。愛称として「ペケジェイ」と呼ばれることもあります。空冷エンジンを搭載した初代モデルと、水冷エンジンを搭載した2代目モデルに大別され、それぞれに複数のバリエーションが存在します。

初代XJ400：空冷DOHC4気筒エンジンの魅力

1980年6月の発売開始以来、XJ400は高い人気を誇りました。カワサキZ400FXに対抗するモデルとして、ヤマハ初の400ccDOHC4気筒エンジンを搭載。SUキャブレターと4-1-2集合マフラーを採用し、45馬力を発揮しました。

ヤマハが当時から重視していた「軽量・コンパクト」という設計思想に基づき、セルモーターやジェネレーターをシリンダーブロックの後部に配置することで、エンジンサイズは並列2気筒並みにコンパクトに設計されています。また、足つき性の良さや、適度な柔らかさを持ちながらも安定性を確保したサスペンションセッティングなど、扱いやすさも魅力でした。スタイリッシュなデザインと高い操縦性を両立した、洗練された一台と言えるでしょう。

初代モデルには、いくつかのバリエーションが存在します。

XJ400（I型）：1980年6月発売。ブリリアントレッド、クリスタルシルバー、ニューヤマハブラックの3色のカラーバリエーションが用意されました。1405mmという長いホイールベースを持ちながらも、乾燥重量は176kgと軽量で、アップライトなハンドルポジションと低いシート高により、快適なライディングを提供しました。
XJ400（II型）：1981年4月発売。燃焼効率向上システム(YICS)を搭載したマイナーチェンジモデルです。シリンダーヘッドカバーとクランクケースカバーにYICSロゴが追加され、ディスクローターにスリットが加えられました。
XJ400D：1981年6月発売。左右2本出しのマフラー（4-2-4方式）と、マフラー後端のクリフカット形状が特徴的です。YICSの搭載により中速域の出力特性と燃費が向上しました。フロントディスクローターは穴開きタイプとなり、エンジンはブラックアウト処理が施されています。また、角型ミラー、セミエアタイプのフロントフォーク、リアアジャスタブルダンパー、H4ハロゲンバルブヘッドライトなど、改良が加えられました。
XJ400SPL：1981年4月発売。プルバックハンドル、ティアドロップタンク、ショートマフラーなどを備えたクルーザー仕様モデルです。
XJ400L：1983年発売。教習車仕様モデル。クリスタルシルバーのみの設定でした。
YSP Limited Version：1982年発売。カラーリングを変更した限定モデル。

2代目XJ400：水冷エンジンと進化したスタイリング

1983年4月には、水冷エンジンを搭載した2代目モデル、XJ400Zが登場しました。最高出力は55馬力に向上。モノクロスサスペンションやスタビライザー付きフロントフォークなどを採用し、走行性能が大幅に向上しました。ネイキッドタイプのXJ400Zと、ショートカウルを装着したXJ400Z-Sの2種類がラインナップされました。

1984年4月には、XJ400Z/Z-Sに代わってXJ400Z-Eが発売されました。フレームマウントのアッパーカウルとアンダーカウルを装備し、スタイリッシュさがさらに増しました。

XJ400シリーズは1980年代半ばに生産終了となりましたが、1990年代のネイキッドブームにおいて、その系譜を受け継ぐモデルとしてXJR400が1993年に登場し、新たな伝説を刻むことになります。XJ400は、時代のトレンドを取り込みながら、ヤマハ独自の技術とデザインを融合した、まさに名車と言えるでしょう。その魅力は、現代においても多くのファンを魅了し続けています。

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