ヤマハ・XSR700

ヤマハXSR700：ネオレトロの進化系

ヤマハ発動機が製造するXSR700は、現代的な走りをレトロなスタイルで楽しめるオートバイです。2015年にヨーロッパで発表され、2017年に日本市場へ導入されました。近年人気が高まっているネオレトロカテゴリーにおいて、XSR700は独自の進化を遂げています。

デザインとコンセプト

XSR700のデザインコンセプトは「The Performance Retroster」。レトロな外観を保ちつつ、現代的な走行性能を両立させています。ベースモデルであるMT-07のフレームやエンジン、サスペンションを共有しながらも、外装パーツの細部に至るまで、レトロな雰囲気を醸し出すデザインが施されています。

丸みを帯びたヘッドライト、シンプルながらも高級感を感じさせるアルミ製パーツ、そして個性的で洗練されたフォルムは、往年の名車へのオマージュを感じさせつつ、現代的なセンスも兼ね備えています。特に、アルミ製のタンクサイドカバーは、滑らかな曲線と絶妙な絞り込みが特徴で、ライダーのニーグリップをサポートする設計になっています。メーター、テールランプ、マフラーエンドなど、随所に円形モチーフを用いることで、統一感のあるデザインを実現しています。また、サイドカバーやフロントフェンダーステーの肉抜き加工は、軽量感を強調するだけでなく、カスタムバイクのような個性を演出しています。

パフォーマンスとメカニズム

XSR700は、MT-07と同じ688ccの水冷DOHC並列2気筒エンジンを搭載しています。クランク角270度のクロスプレーンコンセプトにより、力強いトルクとスムーズな出力特性を実現。街乗りからツーリングまで、幅広いシーンで快適な走りを楽しめます。

エンジンは、モデルイヤーによって改良が加えられています。初期モデルの「M410E」型エンジンから、2022年モデルでは最新の排出ガス規制に適合した「M419E」型エンジンへと進化しました。さらに、2022年モデルではフロントブレーキディスクの大径化(282mm→298mm)やミシュラン・ロード5タイヤの採用など、走行性能の向上が図られています。

モデルバリエーションと歴史

XSR700は、発売以来いくつかのモデルチェンジを経てきました。日本市場では、ABS搭載モデルのみが導入され、2017年から2020年にかけてRM22J型、B2G型が販売されました。2020年にはマイナーチェンジを行い、ヘッドライト、ポジションランプ、リフレクターのデザイン変更、カラーリングの追加などを行い、BDS型として発売されましたが、同年で一旦販売を終了しました。

1年間のブランクの後、2022年にRM41J型としてマイナーチェンジ版が発売されました。このモデルでは、エンジン、ヘッドライト、ポジションランプ、ウインカーランプのLED化、フロントブレーキディスクの大径化、新型タイヤの採用、そしてネガポジ反転LCDメーターの採用など、大幅な改良が施されています。

まとめ

XSR700は、レトロなデザインと現代的な性能を融合した、魅力的なネオレトロモデルです。洗練されたデザイン、力強いエンジン、そして進化し続けるテクノロジーは、多くのライダーを魅了しています。往年のバイクのデザインを愛でつつ、現代の技術と安全性を求めるライダーにとって、XSR700は最高の選択肢の一つと言えるでしょう。その歴史と進化を辿ることで、ネオレトロモデルの魅力をより深く理解することができるでしょう。今後の更なる進化にも期待したいモデルです。

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