ヤマハ・XSR900

ヤマハXSR900：ネオレトロの粋を極める一台

ヤマハ発動機が製造するXSR900は、大型自動二輪車に分類されるオートバイです。同社の「Faster Son Project」の一環として、MT-10やXSR700と共に2015年に発表され、その後日本を含む世界各国で発売されました。

レトロと先進の融合：デザインと性能

XSR900は、近年流行しているネオレトロカテゴリーに属するモデルです。そのデザインコンセプトは「The Performance Retroster（ザ・パフォーマンス・レトロスター）」と銘打たれ、レトロで普遍的なスタイルの中に、現代的な走行性能と機能性を巧みに織り込んでいます。

ベース車両であるMT-09から、フレーム、エンジン、前後サスペンションといった主要な構成要素を受け継ぎますが、XSR900では、サスペンションセッティングやシート、ハンドル位置を最適化することで、MT-09とは異なる独特の乗り味を実現しています。

また、先進的な電子制御システムも搭載しています。MT-09トレーサーで採用された2モードトラクションコントロールを3モードに拡張したほか、同シリーズで初めてアシスト＆スリッパークラッチを採用することで、より安全で快適な走行をサポートしています。

継続的な進化とデザイン賞受賞

2016年の発売以来、XSR900は幾度かのモデルチェンジを経て進化を遂げています。排出ガス規制への対応やカラーリングの変更に加え、ヘッドライトデザインの変更、ポジションランプの追加なども行われています。2018年には、ヘリテイジスポーツモデルをイメージしたレッドカラーが追加された一方、2019年には80年代のRZ250Rを彷彿とさせるカラーリングが採用されるなど、デザイン面でも常に進化を続けています。

その優れたデザインは高く評価され、グッドデザイン賞2016ベスト100、オートカラーアウォード2016特別賞をはじめ、iF Design Award 2017、Red Dot Award 2017など、数々の国際的なデザイン賞を受賞しています。

2022年モデル：フルモデルチェンジによるさらなる進化

2022年には、XSR900シリーズ初のフルモデルチェンジが行われました。新コンセプトは「The Expert of Equestrian（エキスパート・オブ・エクストリアン）」で、伝統的な馬術をイメージし、MT-09が「暴れ馬」なら、XSR900は「愛馬」との一体感を重視した設計となっています。

このモデルチェンジでは、エンジンを新型MT-09と共通の「N718E」に換装しました。排気量は845ccから888ccに拡大し、よりパワフルな走りを可能にしています。さらに、クイックシフター（アップ／ダウン対応）、クルーズコントロール（標準装備）、カラー液晶メーターなどを装備し、快適性と利便性も向上しています。

また、従来モデルと比較して、リアアームとリアフレームを新設計し、サスペンションセッティングも見直されています。これにより、ホイールベースが65mm延長され、シート高も低くなるなど、より洗練された乗り心地を実現しています。

まとめ

XSR900は、レトロなスタイルと先進の技術が見事に融合した、魅力的なオートバイです。デザイン性と走行性能、そして快適性を高い次元でバランスさせており、ネオレトロモデルの中でも特に高い人気を誇っています。継続的な進化を遂げながら、これからも多くのライダーを魅了し続けることでしょう。

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